手のひらに
陽の当たらない校舎裏に到着した私達は、木々が生い茂る場所へ移動した。
ここなら万が一人が通ったとしても安心できる!大きい樹木が陰になるので、目撃されることはまずない。
私は木に背中をくっつけて、ジロちゃんは私の周りを囲うように両手をついた。
「なるべく早くしようか…長いと眠くなっちゃうしさ。」
「大丈夫!5分くらいだC!」
「しれっと延長しないでくれ…自分で1分って言ったんだから。ちゃんと60秒数えとくんで絶対に延長」
私が話してる最中だというのに、ジロちゃんは何の前触れもなく唇を重ねてきた。
軽く触れるだけのキスを数回、唇同士がくっついたり離れたりする度に心地良い音が聞こえる。
言葉を遮られた事に文句を言う気が完全に無くなった私は、ジロちゃんの首にゆっくりと手をかけた。
自然と閉じていた目を開いてみると、目を閉じていたジロちゃんが同じタイミングで目を開けた。
目が合うと、ジロちゃんは嬉しそうに笑って、かぶりつくようにキスをしてきた。
柔らかくてあたたかい唇が吸いつく感覚と、そこから漏れる音が気持ちいいな。
「…まって、そろそろ、やめないと」
「んー、もちょっとだけ。」
やべぇ、キスに夢中になって数えるのを忘れていた。もう既に1分経ってるはず、だけど…
延長なんぞお構いなしにキスし続けるジロちゃんを、私はなんの抵抗もなく受け入れた。
ジロちゃんには朝練があるし、私にもお花の水やりがある。早くやめなきゃいけないのに、キスをし続けたい欲に勝てない。
「ねえ……きもち…?」
聞かれなくとも気持ちいいに決まっている。
現に気持ちよすぎて脚に力が入らなくなりそうだ。入らなくなりそうってだけであって余裕で立てているが。
よく腰が砕けて立っていられない。なんて表現を聞くが、未だ体験したことないな…
立っていられないほど気持ちいい未知の感覚。この上なく体験してみたいけど、一体どんな風に腰が砕けるんだ?
キスはいつでも気持ちいい。なんだ、私の感性が鈍いのだろうか。それともキスのしすぎで抗体か何か……
いやいやこんなことを考えてる場合じゃない。いい加減終わらなければ!
「おしまい、ストップ。」
「んー?ほんとにやめていいの?」
「うわ、そんな意地悪な聞き方して…」
「だってさぁ、したくない?もっと。」
悪魔のように囁いたジロちゃんは、私の唇を指でなぞった。
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わらびもち