手のひらに
お昼ご飯の後、友達が委員会の呼び出しで不在となった。
暇を持て余した私は花壇の様子を見に教室の外へ。
その道中、別のクラスの岳人と会ったので一緒に裏庭へ行く事になった。
岳人もまた、仲のいい友達が委員会の呼び出しにより不在だそうだ。
「そういや大会あるんだってね!」
「あー。宍戸から聞いたの?」
「うん!大会あるのにジロちゃんが朝練来ない〜ってキューティクルに輝くポニーテール揺らして騒いでたよ。」
「挟むなよ髪への称賛。でもあいつはマジで朝練来ねえ、今日は跡部と試合できるってんで来てたけど。」
「でも明日からは朝練来ると思うよ!亮が毎朝叩き起こしに行くって言ってたからねハンマーで!」
「二度寝どころか永遠の眠りにつかねぇ!?」
「ハンマーは嘘だよ。」
「名前って平気で嘘つくよな何食わぬ顔で。」
「本当はハリセンで叩き起こすってさ!」
「バラエティー番組でありそうだから嘘か本当か判断するの難しいライン!」
岳人と楽しく雑談をしながら、裏庭の花壇までやって来た。
朝の間に手入れした花たちは今も元気に咲いてくれている。いつ見ても愛おしい。
私は岳人を花壇の前のベンチへと誘導した。
「目の前にこんな目を疑うほどの美しい光景が広がっているなんて、贅沢だと思わんかね。」
「はいはい、お前の手入れした花自慢な。」
「観覧料金として100万円いただこうか。」
「たっけぇ。ユーシみたいな事言うなよ…良心的じゃないなー。」
「じゃあキス1回でいいよ!」
「きっ、はあ!?なんでキスなんだよ!おかしいだろ!」
「嘘だよ。」
「……殺すぞ」
トーンの下がった声で物騒な事を呟いた岳人は、大きめのため息を吐きながら花壇に顔を向けた。
余談だが、私はこうした会話からキスフレに繋げていったりする。
この間も委員会で一緒になった子に冗談を言って、運良くすんなり、キスフレになれた。
ただ岳人に対するこれは、単なる冗談。亮もそうだけど2人は友達、親友だからな!……ジロちゃんは別格か…?
「岳人の大事なファーストキス、そう簡単に奪いやしないよ!」
「るっさい。てかファーストキスって決めつけんな。」
「な…なに…?するってぇとあれかい、した事あるってのかい!?」
「口調うざ!あるし、もう中3だし。」
いや、中3でファーストキスは全然早いぞ…
まさかまさかの岳人がキスを経験済みだったとは!キスフレ…な訳ないな!となると!
「彼女居たんだ!すごい!」
「何への感心なんだよそれ。」
「だってすごいじゃん!なんで報告してくれないのさ〜!え…どら焼きとキスしたとかそういうくだらんオチは怖いからやめてよね…」
「な訳あるか!一個下の後輩ですー!」
おっとガチでガールフレンド居たパターンか。
まぁまぁ確かにね、いちいち報告することでもないよね、クラスも別々だし…でも知らない間に先に越されたのムカつきの極みだな…
-10-
*しおり *もくじ
ページを飛ばす(10/17)
わらびもち