てんとうむし 

あれから、仲良くしよう!とは言ったものの
最初の頃は苗字の席を挟んで仁王と喋る感じだった。

喋るって言ってもたまにだけどな、あいつドがつくほどのサボり魔だから。
席についてるほうが珍しいくらいだ。

仁王と話す時はなるべく苗字に話振ったりしてたけど、あんまし会話に入ってこないんだよな〜

かと言って仁王の居ない時に苗字と2人で話す話題は、そんななかったっつーか…

探せばあるけど、なんていうか、所詮はクラスメイトじゃんか。
仁王みたいに部活仲間だからとか、そんな深い関係でもないし

そんな中途半端な俺の気持ちを察したのかどうかわかんねぇけど

そのうち、俺が仁王と会話しようと振り返る度にちょっとだけ困り顔になってた。苗字のやつ。

わざと窓際にもたれかかって仁王を遮らないようにしたり、休み時間の時はすぐ友達のところに走って行ったり。
とにかく気遣いが凄かったな。

俺は苗字が間にいても何とも思ってなかったけど、苗字からしたら迷惑そのものだったんだよな…
席替えしてから一週間後くらいに気付いたわ、遅っ。

間に挟んでベラベラ喋られたりなんかしたら、誰もいい気はしない。
おまけにこいつの性格上、無駄に気ぃ遣っちまうじゃん。
席移動の時もそうだったし。

てか、仁王と話す時に話振られても、嫌だったんじゃねぇか?苗字のやつ。

仁王と話すついでかよ、みたいな。


………
授業中、10分ほど早く終わったんで自由タイムとなった。

自由タイムって言っても授業中に変わりはねぇから、誰も席は立ってない。
周りの奴らと駄弁ったり、真面目なやつは自習したり、先生と雑談してたり。

まぁ、そんなゆるい感じだ。

俺は自習する気にもなんねぇし、前の席の田中は寝てるし、何気に後ろを向いた。

仁王と話す為じゃない。
あいつ朝からサボってて不在だもん、不良め。

後ろの苗字も俺と同じ気分なのか、ノートを閉じてぼんやりと窓の外を眺めていた。

わざとらしく窓の外見る仁王より断然自然だわ……


「なあ」

「……」

「苗字?」

「…ぅえっ?あ……私…?ど、どうしたの?」


苗字はガタタっと机を揺らしながら、慌てた様子で聞き返してきた。

いっつも仁王と喋ってるから、声かけられてるのが自分だとは思わなかったパターンね。
しっかし、不意打ちとはいえそんな慌てるかね。抜けてんなー。

で、だ。
俺は苗字に聞きたいんだよ、苗字挟んで仁王と喋る俺の迷惑問題の事。

単刀直入にその件のことを聞いてみると、苗字はいつもの申し訳なさそうな顔で言った。


「私が間の席になっちゃったせいだから、ごめんなさい…」


だから、なんでそうやってすぐ謝るんだこいつは?

この席順になったのはただの運だし、誰のせいでもない。
そもそも悪いのは後ろ向いて喋る俺だろ…どちらかと言えば。


「あのさ。俺と話すのいや?」

「え……」

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わらびもち

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