てんとうむし 

宿題の事でイライラしながら携帯をいじっていると、ふと後ろからシャツを引っ張られてるような、そんな感覚を覚えた。

引っ張られてるような…っていうか、
え?引っ張られてる?

パッと後ろを見ると、苗字が椅子から腰を浮かせながら俺のシャツを摘んでた。


「苗字?」

「ごめん、声かけても反応なかったから…」


苗字は俺のシャツから手を離して、ストンっと椅子に腰を落とした。

いけね、俺とした事が苗字から初のお声がけだってのに!
次からちゃんと反応してやんねぇと、声かけてもらえなくなるな。

でも、シャツ引っ張ってまで呼んでくれるとは思わなかったぜ。
だって苗字、一回声かけて反応なかったらすぐ諦めそうな性格してるし。

宿題の苛立ちがすっかり吹っ飛んだ俺は、体ごと横を向いて苗字に顔を向けた。


「悪い、気付かなくて。何か用か?」

「あの、数学の宿題でちょっと」


その宿題の件で苛ついてたってのに、なんでそれを苗字の口から聞かなきゃなんねぇんだ…

イライラがカムバックしつつある中、苗字が机の上に置いていた宿題のプリントに目を落としながら言った。


「これ、仁王くんに見てもらったから…」

「ふーん………で?」

「答え合わせ…」

「ん?答え合わせ?」

「仁王くんが、私から丸井くんに宿題を見せる分ならいいって…」

「なんだそりゃ」


チラッと苗字越しに仁王を見ると、こちらに向かってウインクしながら手でキツネを作ってた。
どう捉えたらいいやつなんだよ、あれ。

意味不明な仁王の行動に呆れながら苗字に視線を戻すと、これでもかってくらい眉を八の字にした苗字と目が合った。


「ごめん、私が余計な事したから…」

「なに?余計な事って」

「よく考えもせずに宿題一緒に見てもらおうって誘っちゃったから、それで仁王くんとケンカになっちゃって」

「まてまて…別に喧嘩なんかしてねぇぞ?」

「えっ……でも、丸井くんすごく怒ってたみたいだったから…」

「確かに腹は立ってたけど、喧嘩じゃないから。仁王がああなのはいつもの事だしな」


再び仁王に目をやると、今度はフレミングの法則の左手を顔に当てていた。
ガリレオかよ。

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わらびもち

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