てんとうむし
ちゃんと授業に出ない仁王に無性に苛立ってると、不意に苗字が前を向いた。
「あ、丸井くん」
俺と目が合った苗字は、パッと笑顔になった。
やっとこっち向いた…話し終わったのか?
苗字の顔を見てなんとなくホッとしていると、苗字はカバンの中のファイルからプリントを取り出した。
「仁王くんがね、数学の宿題合ってるか見てくれるって。丸井くんもどう?」
「宿題?俺も?」
「だってほら、数学苦手者同士だし…」
そうそう、俺の苦手科目は数学だ。
あと理科も苦手だけど、それは苗字が得意科目だから、たまに教えてもらったりする。
でも数学は俺と一緒で、苗字も苦手なんだよな。
だから数学の得意な仁王に宿題見てもらおうって感じだろうけど、仁王にしては珍しく親切じゃんか。
でも答え合ってるかちょっと自信なかったし、見てもらって損はねぇな!
ちょっとよれてる宿題のプリントをカバンから取り出して、仁王の席に移動した。
「じゃ、俺の分もシクヨロ!」
「見るのは苗字ぜよ、ノートのお礼やき。」
「俺はその苗字から誘われて来たんだぜ?ついでに見てくれたっていいじゃんか」
「ノート見せてくれたやつ限定だっちゃ」
「んじゃあ、次は俺のノート借してやるから!」
「ご遠慮します」
「いやなんでだよ、そんな丁寧に。」
「一度苗字の綺麗なノートに手をつけてしまうとな、他のノートには戻れんのじゃ…」
「あ〜。…ん?つまり俺のノートが汚いって意味?」
「プリッ」
はい、これは肯定形の返事だな!確定だわ!
くっそ、苗字に借りる前まで散々俺のノート写してた奴が…マジで恩を仇で返してきやがるな。
てか席替えのくじの時もそうじゃん!この恩知らずめっ!
ドケチ仁王に腹立った俺は、無言で自分の席に戻った。
あーあ、もう知らね!俺は知らねーかんな!
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わらびもち