不幸中の幸いの幸い
「ていうかさ、僕がただの庶民を恋人にするわけないだろ常識的に考えて。」
「常識、的に」
「これは一時的な社会勉強ってのかな?ただ評判を良くするためにやってただけだよ。裕福でハンサムな僕が庶民なんかと付き合ってるってなったら、周りから心の広い王子様って思われるじゃない?そのためにキミを使っただけ。」
「え、な…ドラマの、見過ぎ…」
「ま、ただの庶民を選ぶわけにいかないからね。だから庶民にしては綺麗なキミを選んだってわけ。どう?光栄だろ?」
この人は庶民にしては綺麗な私を、ただの道具としか捉えてなかったわけか。
いつも学校で行動を共にしてたのも、庶民の私と一緒にいるところを大勢の人に見せつける為。
なるほど、どうりで放課後一緒に帰ろうとしてくれなかったわけだ。
今考えると学校以外であの人と会ったことがなかったかもしれない。お坊ちゃんともなると忙しくて会えないんだな〜って思ってた私はマヌケだな。
そうか、学校以外で私は必要がなかったからだったのか。こんなくだらない理由で付き合っていた人の為に、私は毎日毎日精神削がれるまで化粧を頑張っていたのか。もう最高だね。
「あらら?醜い顔だこと。」
悔し涙で流れ落ちていくマスカラ、ファンデーション。
めちゃくちゃになってしまった私の顔を見下しながら、先輩は嘲笑った。
いやもうね。流石に我慢の限界だぞその態度。
「こんっの、自己中!」
今度は私が先輩のほっぺにビンタをお見舞いしようとしたが、私の手はいとも簡単に受け止められてしまった。
くそ、まさか受け止めるとは!こんな自己中な男に一発もお見舞いしちゃダメなのかよ!むしろグーパンしたいくらいなのに、神様のいじわる!!
受け止めた私の腕をへし折る勢いで掴んでいた先輩の顔は、まるで般若面。
「今さぁ。僕の美しい顔に、何しようとしたのかなあ〜?ねえ!?」
先輩は勢いよく手を振り上げた。
ああ〜また引っ叩かれるのか〜
私は覚悟を決め、ギュッと目をつむった。
バシャーン
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わらびもち