不幸中の幸いの幸い
私の豹変っぷりに流石の先輩も驚いていたようだったが、すぐ元の笑顔に戻って手首を掴む手に力を込めた。
「いい加減にって、どういう意味かな?」
「だから!そうやってアホみたいに束縛して今朝はアイライナーひいてないくらいで怒るんやめ言ってんねん!どんだけ細かいんじゃ!!」
「あはは。なにそのみっともない言葉遣い。お前、誰に口答えしてるかわかってる?」
手首を掴んでいた手を離して、今度は頭を鷲掴みするかのように髪の毛を掴んできた。
完全にガチギレ状態の先輩が怖くて怖くて、脚ガックガク。
でもここで引き下がってしまったら、私はこれから先、自由に生きていけない。
「もうたくさんなんです!別れて下さい!」
「冗談キツイなぁ、名前ちゃんから別れ話切り出してくるなんて。僕からならまだしもさ〜」
「それなら先輩から別れたいって言ってくれたらいい話でしょ!!これ以上付き合ってられま…」
パンッ
私が必死になってお願いしてると、突然、頬を引っ叩かれた。
今までは手首を掴むくらいだったからまだ良かったものの、今のは完全なる、ドメスティックバイオレンスなのでは?
頬の痛みと彼への恐怖心で、何も喋れなくなった。ちょっとでも喋ったらまた頬を叩かれるんじゃないかって、声が出ない。
先輩はおとなしくなった私の顎をガッと掴むと、いつものように笑った。
「あのさぁ…綺麗だけが取り柄の庶民が、調子に乗らないでくれる?」
え、え〜!綺麗だけが取り柄って、これは褒めてるのか貶してるのか!
この状況下だと貶し言葉だろうか。
綺麗だけが取り柄ってことは、つまり、つまり先輩は私の外見だけを見て、中身のほうはまるで興味なしだったって事でよろしいですかな。
いやもう逆にすごいなここまで来ると。
この人と別れないとダメな理由が増える一方じゃないですか。
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わらびもち