不幸中の幸いの幸い 

気付くと私の体は、全身びしょ濡れになっていた。
それは目の前に居た先輩も同じ。

突飛すぎる展開にポカンとしていると、頭上から声が降ってきた。


「おっと悪りぃ、下に人が居るとは思わなかったぜ」


声がした方を見上げると、校舎の二階の窓から青いバケツを持った人影が見えた。

つまり私がびしょ濡れになったのは、あの人がバケツに入った水を窓から捨てたせい?

いやでも、水って二階の窓から撒き散らしていいものだったか!?


「ちょっと!この僕に水をひっかけるなんて、一体どういうつもりなんだ!」

「うるせぇな、下に居るとは思わなかったと言ったろうが」

「何ぃ…!?確かに僕は水も滴るいい男だが!」


このような状況下で何を言ってるんだこの人…こんなにもおめでたい人と毎日学校で会ってたのかと思うと怖くなるな…


「ともかく、今すぐこっちへ来て僕に謝罪しろ!あとタオル持ってこい!」


最後の一言が最高に図々しいが、私もあの人には会いたい。会ってお礼を言いたい。
バケツの水のおかげで、私はこの人に殴られずに済んだんだから。

先輩がご立腹する中、二階に居るバケツの人が窓から顔を引っ込めた。
どうやらここまで降りて来てくれるらしい。

しかし水かけられておいて急にお礼なんか言ったら、変な趣味持ってる人かと思われちゃうかな。
でもなるべく事情は話したく

スターン!

どうやってお礼を言おうか考えていたところ、突然上から、二階から、人が飛び降りてきた。

その人は華麗に地面へ着地すると、くるりとこちらを振り返ってどやりと笑った。


「ほらよ、来てやったぜ?」


いやいやいやいやいや

今この人二階から直に落ちて来たぞ!二階って言っても結構な高さあるのに!?

まさかの階段を使用しないスタイルで飛び降りてきたバケツの人。足腰などの安否を確認するべく、私は急いでその人の元へ駆け寄った。


「だ、大丈夫ですかバケツの人!?怪我してませんか!?」

「アーン?俺様の体はそこまでヤワじゃねぇ、このくらいの高さなら」

「どれだけ体が丈夫でも、これからは階段を使ってください!いいですね!?」

「…わかったから、俺の心配はもういい。それよりも、お前はどうなんだ?」

「えっ、私?私は何も」

「その赤く腫れ上がった右頬が、何もないって?」


バケツの人に指摘され、思い出したかのように右頬がズキンと痛み出した。

そういえばビンタくらってたんだった。色んなことがありすぎて忘れてしまっていた。
主にバケツの人のハッスルのせいだけど…

でも、こうなった経緯について話したりなんかしたら先輩が……あれ?

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わらびもち

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