不幸中の幸いの幸い 

自分の家へ続く道を跡部さんと並んで歩いていた私は、今日のお礼の件を思い出した。

お礼!どうするか考えなきゃ!

樺地くんへは何かお菓子かランチかにして、跡部さんは……


「あの、明日はタオルお返しする時に何か、お礼させていただきたいと思っているのですが…」

「例えば?」

「例えばですね、え〜………」


だめだ。何をどう考えても食べ物しか思いつかない。

でも跡部さんに失礼のないような食べ物じゃないとダメだよなぁ…失礼のない食べ物ってなに…?

え〜〜……


「フルーツ…盛り合わせとか…」

「そんなもん、食べようと思えばうちでいくらでも食べられるぜ?」

「そうですよね……じゃあ薔薇の花とか!」

「俺様にプロポーズでもする気か?」

いいえ!

「随分とはっきり否定してくれるじゃねーの。」

「違うんですごめんなさい!跡部さんが来てからの学園内、薔薇の花で沢山だから好きなのかな〜と思ってて、それで、つい」

「まぁ否定はしねぇ。けど薔薇はよしな、お前にその気がなくてもな。」

「ごめんなさい…」


跡部さん=薔薇ってイメージが思い浮かんだからとっさに言ってしまったが、身の程知らずもいいところだ。
薔薇を贈るって、デリカシー皆無かおい。

よし!じゃあ、ここは最初に戻って


「やっぱり渡されて嬉しいのは食べ物ですよね!」

「フン。それはお前が、だろ?」

「またそんな!じゃあ、跡部さんはどんなお礼だったら嬉しいですか?」


どうか私のお小遣いで買える範囲のものでありますようにと恐る恐る聞いてみると、跡部さんの口からは意外な言葉が出てきた。


「お前の元気な姿。それを見せるだけでいい。」

「えっ…?でも、それじゃお礼は」

「その気持ちだけで十分だ。だから、明日はタオルと一緒にお前の元気な姿を俺に見せろ。いいな?」

「…はい!お安いご用です!」


跡部さんと話してて、心臓がギュンッと締め付けられたような、苦しいような、そんな動悸がした。

なんだこれ?食べた後走ったら横腹痛くなるやつに似て……ないな。あれはギュンッというより、ちくちく痛むやつだ。

でもまぁ、大して気にする事でもないかな!
先輩と別れられて気持ちはスッキリしてるし、ぐっすり眠ればこの動悸も治るよ。心配ないさ!

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わらびもち

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