不幸中の幸いの幸い 

薔薇は贈る本数で意味が違うっていう豆知識を教えてもらったりしてるうち、家に到着した。

跡部さんと話してるとあっという間な気がする。


「家まで送ってもらって、ありがとうございます!」

「気にするな。すぐに風呂に入って体温めな。」

「そうします!跡部さん、リムジンのところ覚えてますか?送っていきますよ!」

「俺がここまで来た最大の意味がなくなるだろうが…ちゃんと帰れるから、お前は早く家に入れ。」

「そうですよね…すみません!今日はありがとうございました。では、失礼します。」

「ああ。」


鞄から家の鍵を出して、玄関の鍵を開けた。
もう居ないかな?と思って振り返ったら、跡部さんは玄関先で腕組みをして立ったまま。

びっくりした…私が家に入るまで見送ってくれるのかな。
本来ならここまで送る筋合いだってなかったはずなのに、なんていい人なんだ…!

私が慌ててお辞儀すると、跡部さんは飽きれたように笑いながら家に入るよう促した。
玄関のドアを小さく開け、その隙間に入るようにして家の中に入ろうとした際。

くどいようだがもう一度跡部さんを振り返ると、跡部さんは可愛い我が子を送り出すかのような、そんな温かい目で言った。


「また明日な。」

「あ……はい!また、明日…へへ…」


玄関のドアをゆっくり閉めた後、真っ先にトイレへと駆け込んだ。
実は言うとずっとおトイレを我慢していたんだ!!!!

私は便座に腰を下ろしながら、頭を抱えた。


「明日会うの、恥ずかしすぎや、しないか…?」




車の中、窓の外を通り過ぎていく住宅街を眺めていたところ、ミラー越しにミカエルが尋ねた。


「不躾な事を伺いますが」

「なら聞くな」

「あの方とはどのようなご関係で?」


聞くのかよ。と、心の中で思いながら、ミカエルの質問に質問で返した。


「そんな事聞いてどうするよ?」

「随分と親しげでしたので、もしやと思いまして。」

「バーカ、そんなんじゃねぇ。」

「しかしながら、景吾坊ちゃんがここまでなさるのは」

「ただの気まぐれさ。」

「…左様ですか。」


景吾坊ちゃんが儚げな笑顔で「気まぐれ」とおっしゃる場合は、大抵気まぐれではない。

という事を、ミカエルは知っているのだった。

不幸中の幸いの幸い 後編
end.


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わらびもち

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