おにぎりせんべい編 

「……ん?なんだこれは?」


紙袋の中のタオルと共に取り出したおにぎりせんべい(箱)を見て、跡部さんは小首を傾げた。


「それ、昨日のお礼です!何も無しはやっぱり失礼かと思って」

「なんだ。薔薇の花じゃねぇんだな?」

「だかっ、いや…それは」


昨日、家まで送ってもらっていた時に話題になった贈る本数で意味が違うという薔薇の話。
その時に10本贈る分なら構わないと言われた。

いやなんでやねんと思ったが、薔薇を10本贈るのは「あなたの全てが完璧」という意味が込められているらしい。

たしかに非の打ち所のない完璧な人ではあるけれど、自分で言っちゃうところがまた、跡部さんらしくて…

とはいえ流石に薔薇は贈れんよ!「あなたの全てが完璧」って意味とはいえ、薔薇である事に変わりはないから!

そもそも元気な姿を見せるだけでいいって言われたし!申し訳程度のおにぎりせんべい(箱)あるし!
そんなロマンチックなお礼はできません!


「とにかくですね、それは心ばかりのおにぎりせんべいと言いますか」

「おにぎりせんべい?握り飯が煎餅になってるのか?」

「そのまんまですね…ただのおせんべいです!お醤油味の!」

「なるほど、形が握り飯って訳ね。パッケージが緞帳柄とは珍しいじゃねーの。」

「どんちょう…」


聞き慣れない日本語に動きが止まってたら、跡部さんが歌舞伎劇でよく見る引き幕の事だと教えてくれた。

歌舞伎って言われてピンときたよ。珍しいといえば珍しいのかな、緞帳柄って!


「ところで跡部さんって、おせんべい食べたことあります?」

「食ったことないとでも?」

「あっいえ…おせんべい食べてるイメージが湧かなくて…おやつにキャビア食べてそうなイメージしか」

「お前な、それは偏見ってやつだぞ。」

「すみません…」

「キャビアは週2のペースでしか食べねぇよ。」


結構な頻度で食べてた〜

私からしたら100年に一度食べれるかわからないような代物なんだけども。


「煎餅くらい食った事ある。日本の和菓子はどれもこれも絶品だからな。」

「それはそれは!……おせんべいとは言っても高級なおせんべいなんじゃ」

「んな事いちいち気にするな。それとも、自分で不味いと思うもんを俺様への礼にしたのか?」

「美味しいからに決まってます!おにぎりせんべいは私イチオシおやつなので!」


家に山盛りストックがあるくらいに好きだと言ったら、跡部さんはおにぎりせんべい(箱)を手に微笑んだ。


「なら、ありがたく頂くぜ」

「はい!どうぞ召しあがってください!」

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わらびもち

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