そういうイベント
お母さんに文句を言われたお父さんは、枝豆を口に運びながら
こちらを振り返って、ドヤァと笑った。
「どや?うちの風呂無駄に広いやろ?」
「ちょっともう全然広ないのにどやらんといてくれる?恥ずかしいから」
「なんでな広いやんか。なあ、名前ちゃんそれ友香里の服やろ?」
「そうですよ〜友香里ちゃんから借りました!」
「せやろ?最初友香里入ってきたわ〜思たけど友香里にしてはえらいべっぴんさんやったからおっちゃんビックリして三度見くらいしてから名前ちゃんやて認識したでな〜」
「いやもうあんた喋らんといてくれる?オチないし」
「はあ?なんでやねん!」
「もうええてそのオーソドックスなツッコミは!」
白石君のお母さんとお父さんの夫婦漫才に愛を感じながら笑っていると、リビングに白石君が入ってきた。
どうやら二階まで私たちの声が聞こえてたらしい。
「オトン、友香里と姉ちゃんに相手されへんからって名前ちゃんにちょっかい出さんといて?」
「なにをお前っ、名前ちゃんの前で相手されへんとか言ーうーなーやー!」
「駄々っ子か!もうオッサン鬱陶しいから、はよ名前ちゃん二階に連れてったって!」
「なんや、自分の部屋連れ込むんか?おーおー青春やなあ!」
「うっさいねん喋んな二度と!!」
バチコーンとお父さんの二の腕を引っ叩くお母さんを背に、白石君とリビングを出た。
白石夫婦は本当に仲良しさんで楽しい人達だ。
私とも分け隔てなく接してくれるし、友香里ちゃんもお姉ちゃんも本当の姉妹みたいに仲良くしてくれるし…
白石君と付き合えた私は、本当に恵まれてるんだと思う。
白石君の後に続いて階段を上っていると、白石君が申し訳なさそうな声で言った。
「ごめんな、名前ちゃん泊りに来て舞い上がってはんねんあのオッサン。ほんま、ほぼセクハラやであれ…俺がするならまだしも」
「自分がする分はいいの…?それにしても2人ともほんまに仲良しさんやね!」
「せやなぁ、仲は悪ないと思うけど」
「毎日楽しそう。私達もあんな風になれたらいいね〜」
「……名前ちゃんがうちのオカンみたいになるってこと?」
階段を上りきったところ、わりと深刻そうな顔でこちらを振り返った白石君。
そんな風な聞き方してくるってことは、あんまり白石君のお母さんみたいになってほしくないってことかな。
そうだとしても、私はお母さんみたいにはなれない。
気が小さいから。
でも白石夫婦みたいに、何でも言い合えるような関係には憧れる。
「あの2人みたいに、掛け合い漫才とかできる仲良しさんなりたいなって意味」
「掛け合い漫才て……でも俺は十分仲良しさんや思ってるで?」
「本当?光栄ですな〜」
「せやから、くれぐれもうちの横暴なオカンみたいになりたいとか思わんとってな?」
「でも、私もお母さんみたいに遠慮なく白石君のことしばくことできたらなって思ってた。」
「変なとこ憧れやんとってくれる…?ああでも、名前ちゃんやったらしばかれてもええかも…絶頂や!」
「白石君こそ変な事に目覚めそうにならんとってくれへんかな…」
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わらびもち