てんとうむし 

苗字は、最初の頃よりかは明るいやつになった。

性格は前と一緒でおとなしいし、ちょっと内気なんだけど
目にかかってた前髪がな…全然うっとうしくないんだよ。

前髪切ってちゃんと目見えてるし、最初の暗い印象は何処へやらって感じだ。

印象が変わったからか、クラスメイト達にも声をかけられるようになってた。

だんだん他の男子とも普通に喋れるようになってってるし、目標達成だな。
男に慣れるっていう、目標。
苗字は覚えてんのかな?

ま、別に覚えてなくてもいいけどさ…でも、これだけは忘れないでほしい。
俺が一番最初の苗字の男友達だってこと。

それに一番仲良い男友達も俺だろい?
だって最初に話しかけたの俺だし、ここは譲れねぇよな。

それに席が後ろだから、いっちばん話しかけやすいもんね。


って勝ち誇った気分だったのに、帰りのホームルームで席替えをする事になった。
やっと苗字と仲良くなったとこだぞこちとら、なんだそれ。


「はあぁ……」


盛大なため息を吐きながら、椅子の背もたれに踏ん反り返った。

まだ1ヶ月しか経ってねーじゃんか、なんで席替えなんかすんだよ。
先生の気まぐれ☆じゃねぇよ。馬鹿か。

黒板に空白の席順表を書く学級委員をじっとりとした目で睨んでたら、後ろから苗字の声が聞こえた。


「席替えかぁ…」


残念そうな声に反応して頭だけねじって後ろを見ると、俺に気付いた苗字がしょんぼりした顔で笑った。


「きっと、丸井君と離れちゃうよね…」

「ん?なんだよ。寂しいとか?」

「うん、寂しい…」


言葉通り寂しそうな顔をする苗字を見て、気分が舞い上がった。

いや、そうじゃなくて、いや…
苗字も俺と一緒で、席替えすんの嫌なのかなって。
同じ気持ちなんだなって、普通に。

頭だけねじった状態で固まってたら、急に苗字があたふたしながら首を横に振った。


「ま、また新しいところ行くの嫌だなって…せっかくこの席にも慣れたのに…」

「そっ、だよな〜。いちいちめんどくせぇもんな!」

「席移動してたら、埃たっちゃうし…ね…」

「だな!…ほんっと、二学期くらいまでこのままでも全然良いわ俺」


苗字に聞こえるか聞こえないかくらいの小っせぇ声で呟きながら、前を向いた。

二学期と言わず、卒業するまででも良いけどな
まぁ…それは流石に嫌か、苗字は。

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わらびもち

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