てんとうむし
あん時と同じように、早いもん順でくじを引きに行くって形式だった。
今回は早めに引きに行ってみるか?
なんとなく、早めに引きに行ったほうが良い結果出そうな気がするから。
「っし……行ってこよ。苗字は?」
「あ…私は後で行くね。」
「ん、そっか」
教卓、くじ引きに来たやつで溢れかえってんもんな。
相変わらず遠慮しいだよ苗字は。
席から立ってチラッと仁王の席を見ると、前と同じように机に頭を突っ伏して寝てた。
……仁王のおかげで苗字と仲良くなれたって言っても、過言じゃないな。
この席だったから苗字にも話しかけやすかったし、真正面から苗字の顔見れたし。
なんて、あの時は一番後ろの仁王の席が良かったはずなんだけど。
仕方ねぇな、仁王の分のくじも引いてきてやるか。
「ほらよ、仁王」
引いてきた2枚のうち1枚を仁王の頭の上に置いた。
……って、起きねぇし。
4つに折られたくじの角で容赦なく仁王のつむじをぶっ刺すと、のろのろと顔を上げた。
「痛いぜよ」
寝起きの機嫌悪い度マックスな顔が俺を見上げた。
だから、そもそも居眠りするお前が悪いんだっての。
手で頭を抑えてた仁王に、くじを渡した。
「これお前のな」
「なんじゃ。ラブレターか?」
「違いますー。くじだよ、席替えの」
「ほーん」
またそんな興味なさっそーな反応しやがって。
てか取ってきてやったんだから礼言えよ。
苗字は俺が引いてきた後くらいに、入り違いで教卓に出向いてた。
ほぼみんなが引きに行った後でくじ引きに行ってんなー。
前の席替えでも、苗字が一番最後だったんじゃねぇか?
ほんと、控えめなやつ。
クラス全員がくじを引き終え、いよいよ席替え発表の時間となった。
俺の番号は「26」
「26」って黒板に書かれるまでまだまだ先だな。
1、2、3とどんどん数字が書き足されていく。
なんか、緊張してきた……
別に期待してるわけじゃないけど、もしかしたらって思うと。
仁王んとこの席でしゃがみ込んで窓の外の空を見てたら、仁王が俺を見下ろしながら言った。
「上の空じゃな、ブンちゃん」
「綺麗なBluest sky見て現実逃避してんの」
「なんじゃそれ気持ち悪っ」
「いやお前のネタだろうが!はあ〜もう、嫌な席だったらヘコむわ…」
「嫌な席…のう」
仁王は含み笑いをして、黒板に顔を向けた。
俺もそろそろ黒板見たいけど……でも…
って、ああ!しゃらくせぇな!
現実逃避してたってラチあかねぇだろい!
しゃがみ込むのをやめた俺は、思い切って黒板に目をやった。
黒板には既に「26」の数字が書き足されている。
「一番後ろ……か」
一番後ろっても窓側じゃなくて、ドア側の一番後ろ。
一応後ろだし、まぁまぁ悪くねぇ席だけど
問題は……
「苗字…お前、どの席だった?」
俺が恐る恐る聞くと、苗字は苦笑いしながら言った。
「元、仁王君の席だよ」
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わらびもち