手のひらに
私とジロちゃんの家は真後ろ同士。
そのため、3階にある私の部屋からはジロちゃんの部屋が見える。
家との距離もそう遠くなく、私の所には小さなベランダがついており、ジロちゃんの部屋の窓には特に柵もついていないのでそれはそれはいとも簡単に窓から出入りできるのだ。
とはいえ私からジロちゃんの部屋に移った事はないので、簡単かどうかはわからないが…
そう簡潔に説明すると、亮はドン引きしながら呟いた。
「不法侵入以外の何ものでもないな…」
「合意の上だから大丈夫〜!」
「でも一方的に部屋に入ってきてるのジロちゃんだよ。」
「え〜だって名前、嫌がった事ないC〜」
「まぁ…着替えてる時に窓叩いてきた時は普通に嫌だったけどさ!」
「そなの!?も〜なんでカーテン閉めるのさ!」
「閉めないで着替えなんかしたらただの痴女じゃないか!」
「いやっ、お前らのそれはどういう感情でのやりとりなんだ!?」
え?どういう感情も何も、友達としての感情…
実際、ジロちゃんは変な事をしたくて私の部屋に来ているわけではない。ただ駄弁ったり、私のベッドで眠ったりするのが好きなだけだ。
キスフレなのでキスが目的っていうのもあるけど、私たちはただの友達、親友、マブ!
なので昔からの付き合いだし窓からの出入りは特に問題ではないと言うと、またもやドン引きした顔をされた。
亮はこういう話に納得できない生真面目さんだからね!
「でもなぁ、起こしに行こうにも私は窓をつたってけないし…」
「俺が名前の部屋行くよ!」
「それだと自力で起きることになるのでは?」
「名前がちゅうしてくれるって思えば起きれる!」
「ちゅう、って、なっ!?お前ら付き合ってたのか…!?」
「え!付き合ってないよ。」
「は?……まさか、まだ続いてたのか。」
亮は険しい顔つきで声を潜めた。
亮は、私たちがキスフレだと知っている。
この関係を言うつもりはなかったが、中2の時くらいにジロちゃんがうっかり口を滑らせてしまったために…。
無闇に口外するものでもないので、あの後は強めに注意しておいたものの。注意していたのにも関わらず、今、言ってしまったわけだよ!
まぁまぁ今のは「亮の前だから言ってもいい」と判断したって捉えておくけど、ぜひとも親の前では口を滑らせないでほしいね!
私たちの関係を知った後の亮は……特に距離を置くこともなく、普段通り接してくれていた。
ただ近状報告する事ではないので、亮は今日まで続いていたこの関係に驚きを隠せなかったらしい。
「お前らもう3年生だろ?いい加減そんな関係やめろよ。激ダサだぞ。」
「えっ…?でも、キス、好きだから」
「やめられないよね〜」
「そういうのは本来、付き合ってる奴同士がやるもんだから!感覚狂ってんぞ。」
「んじゃあ、付き合う?」
「軽!他にもキスフレ居るし、付き合うのはちょっと無理が」
「ちょまっ、お前!他にもいんのか!?」
ジロちゃん以外にもキスフレは存在している。
予定が合わない場合、私は別のキスフレと会ってキスしないといけない、から。
そのためキスをしない日はないんじゃないだろうか。考えたら異常だな…今更か…?
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わらびもち