手のひらに
「さあ起床のお時間ですよ。」
芝生の上で寝そべっていたジロちゃんのふわふわ頭を撫でながら小声で呼びかけると、さっきは身動きひとつせず熟睡していたジロちゃんの目がゆっくりと開いた。
ジロちゃんは寝ぼけ眼で私の顔を見上げている。
「んえ。名前〜?」
「起きるんかい……お昼休み終わったよ。」
「マジ〜。もうそんな時間経ったの〜」
岳人はとにかく大声大声で起こそうとしていたが、ジロちゃんは騒ついた環境の中でも眠れる図太い神経の持ち主。
なのでその逆ならむしろ起きるのでは?と思い、先ほどの行動に至った。
まさかこんなにすんなり起きてくれるとは思ってなかったが、これで教室まで引きずらなくて済んだな!
「さあさあ、授業に遅刻しちゃうぞ。」
「んん〜あと5分いいでしょ〜」
「良い訳がないよ…そのうちに本鈴が……あっ。起きてくれたらキスしてあげま」
「起きまぁーす!」
「うおっ」
がばっと起き上がったジロちゃんにビックリしてバランスを崩した私は尻もちをついてしまった。
この間ジロちゃんとこでクリーニングしてもらったばかりのスカートがOMG…芝生の上だからそんなに汚れてないと思うが気持ち的にちょっと…
ガッツリ地べたに座ってしまったショックを受ける半分、芝生がふわふわして心地いいなんて思っていると、起き上がったジロちゃんが尻もちをついていた私に迫ってきた。
「しよ!」
「でもまって今…外だし…」
「このでーっかい木で誰にも見えてないって!ほら、周り誰もいないC!」
「あ〜……わかった…」
周りを見渡して、誰もいない事を確認した。
予鈴も鳴り終わってるし、今から裏庭にやって来る人なんて居ない。言ったことは守らなければ。
四つん這いになって迫ってきていたジロちゃんは、鼻先がくっつきそうなくらい近くまで顔を寄せてからにこ、と微笑んだ。
キスするときのジロちゃんってすごく良い顔するんだよな。心から好きなんだなって感じがする、キスが。
そのまま目を閉じたので、私はジロちゃんの少し赤くなった頬を両手で覆いながら、キスをした。
頬が赤いのは岳人のほっぺ引き伸ばし攻撃の名残。ジロちゃんは私とする時、基本シラフ。
それは私も同じで、お互いにまったくもって恥じらいがない。
キスする時は多少なりとも恥じらった方が初々しくて可愛らしいものだとは思うが、そんなもの皆無。慣れってすげー!
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わらびもち