手のひらに 

食べられるんじゃないかってくらいの勢いでキスされ、息継ぎができない、苦しい。
頑張れば鼻呼吸できるのだが、あいにく今は泣いて鼻水が詰まっているため口でしか息ができない。

限界に達した私は、強めにジロちゃんの胸を押した。


「まって、まっ…鼻、息できないから」


涙は出続けるわ鼻水垂れそうになるわ、とてもキスできる状態でない。
どうせキスするならちゃんとした状態でキスしてほしいから、仕切り直しがしたかった。

鼻をかませてほしいと言うと、少し間があったものの素直に解放してくれた。
視界がぼやけてて感情が読み取れないけど、とりあえず助かった。結構鼻垂れ小僧になってたけど、ジロちゃん、口の中に入ってないだろうか…

ベッドの側に置いてあったティッシュを何枚か摘んで鼻をかんでいると、横から抱きつかれた。

鼻をかんでる体勢、腕を胸の前に置いている状態のまま包み込むように抱きしめられてしまったので腕の自由が効かない。また囚われの身ですか。


「どうしたの…」

「こうしたら元気出るかなって。だめ?」

「そんな…うん、友達だから…別に」

「でも体に触るのアウトじゃなかったっけ?」

「ジロちゃんは付き合いが長いから、抱きつくくらい、何でも」


つまりどういうことなんだろうか、ジロちゃんのしてる事は…ルールを破っても許される自分は、キス以上の事もしていいってこと?

なんでだ?彼女がいるのに。

一時的に止まっていた涙がぶり返す中、抱きしめる腕に力がこもった。


「なんで泣くの?言ってくんなきゃ俺わかんないC。」

「…キスフレやめよう。」


掠れた声でそう言うと、沈黙が流れた。
横目でジロちゃんを見てみたら、なんとも言えないような顔で目を見開いている。何の顔なんだろうか、それは…

しばらく固まっていたジロちゃんは、抱きつくのをやめて私の腕を掴んだ。


「なんでなんでなんで!?抱きついたのがダメだった!?」

「違う、そうじゃない…もう、キスフレ全員と別れることにしたんだ。」

「なにそれ!?何かあったの?他の奴に変なことされた!?」

「まさか……今日、ほら、亮に激ダサって言われたでしょ…よく考えたらその通りだなと思ってね。だから改めようかと」

「亮に言われたから亮のためにやめんの!?」


私の腕にすがりつくジロちゃんの目には涙がたまっている。

どうもおかしい、亮の「激ダサ」を出しただけなのに、何がどうなって「亮の為にやめる」に行き着いたんだろうか。

そんな、まるで、嫉妬してるみたいに……あれ?

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わらびもち

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