病名:思春期
「ほら」
昔みたいにツッコんですみませんねと思いながら黙っていると、赤也が私に向かって手を差し出した。
この手をとって立ち上がれって事だろうけど、赤也の力を借りるのが癪だった私は差し伸べられた手をシカトして自力で立ち上がった。
スカートについた砂を払い落としながら私が再びブランコに座りなおすと、赤也も隣のブランコに腰を落とした。
「何かご用でも?」
「別に。偶然ここ通りかかっただけ」
「通りかかるんですか?切原君の家はあちら方面じゃありませんでしたっけ。」
「寄り道した帰りだっつの」
「はあ、そうですか。」
なんか知らんけど全力疾走でもしたんかってくらいひどく汗だくの赤也を横目に、私はブランコを漕いだ。
寄り道というわりにはそれに相応しくない汗のかき具合なのはなんなんだろうな。
まさか私を追いかけて……なわけないね!
そもそも今まで私を無視していた赤也がなんでこのタイミングで声をかけてきたのかがわからないよね!
私の素っ気ない返事にしばらく黙っていた赤也は、静かに口を開いた。
「なんでそんな言い方すんだよ」
「はい?」
声がよく聞こえなかったのでブランコを漕いでいた足を止めて隣を見ると、赤也が勢いよく立ち上がった。
「なんでそんなよそよそしい態度とるんだよっつってんの!つか校門でのアレはなんなんだよ!!」
イライラマックス顔で怒鳴られた。
よそよそしいって、だって、赤の他人ですもん。
まず初めによそよそしくしてきたのは他でもない赤也だと言うのに、何故私が怒られなきゃいけないんだ。
「あの時は彼女さんと一緒だったんですから、名前で呼んだら勘違いされるじゃありませんか。」
「はあ?彼女って何の事だよ」
「校門での話ですよ、一緒に帰ってたじゃないですか。ていうか彼女さん置いてきてここで何してるんですかね!!」
「なに言って…お前なんか勘違いしてねーか?あいつはただのマネージャーだよ。なんつーか、そういうんじゃないから」
「え?ああ……そうでしたか。すみません、あれほど可愛い子が貴様ごときのガールフレンドなわけないですよね。失礼な勘違いしちゃいましたマネージャーさんに。」
「おい」
ガンガン悪態をついてる半面、どこかで安心してる私がいる。
マネージャーの子が赤也の彼女じゃないとわかって、嬉しくて仕方がないんだ、きっと。
そんな単純すぎる私が嫌になるよね。
「では、私はこれで。」
ブランコから立ち上がってカバンを肩にかけた私は、公園の入り口へと歩き出した。
どういう風の吹き回しか知らないけど、いきなり昔みたいに接してこられても困るし、私もどうしたらいいかわからなくなる。
入り口へ向かおうとすると、急に腕を掴まれた。
掴んだのは赤也の右手、さっきからなんのつもりだよって思ってる半分、引き止めてくれて嬉しい。
情緒不安定か私は。
手を振り払う気になれなかった私は、赤也の顔を見上げた。
「なんですか?」
「うまく言えねぇけど…俺、お前のこと嫌いだった訳じゃねぇんだ」
「はい?」
「だから、今までお前と話そうとしなかったのは…」
「…クラス替えのこと覚えてます?」
「え?」
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わらびもち