病名:思春期
「せっかく一緒のクラスになったから声かけたのに、あなた、ガン無視したの覚えてますか。」
「…ごめん」
「死ぬほど恥ずかしかったですよ、みんなの前で思っ切り赤也〜!って呼んだのにガン無視ってなんなんです?知り合いだと思って声かけたら知らない人だったよりもヤバイじゃないですか。だって知り合いなのに無視されたんですから。」
「あの時は久々に名前と会ったからどうしていいかわかんなかったんだよ…だって小学校以来じゃん」
「小学校以来って、一年くらいしか経ってませんけど。」
「その一年の間に変わりすぎなんだよアンタ!ふざけんな!」
「はあ!?わけわかんないよ!!」
怒りに任せて赤也の手を振り払おうとしたけど、赤也の手の力の方が上だったため、振り払えずに終わった。
ここは空気読んで私が振り払えるくらいの力で掴んでておくれよ、力加減というものを知らないのか。
そんなことを考えてるうちに、赤也が私の顔をじっと見つめてきた。
「目、赤いな。泣いてたろ?」
「泣いてません」
「いや、目真っ赤だから」
「いや、花粉症なんで」
「今花粉の季節じゃねーだろ。なんで泣いてたんだよ」
「切原君には関係ないです」
「またお前は…なんで切原なんだよ」
「そりゃあ、一年会ってなかったくらいであんな赤の他人みたいな対応されましたんで。」
「あの時は!ほんとはすぐ声かけるつもりだったんだよ、でもお前が避けるから!」
「また私のせいにして…!最初に避けてきたのはアンタ!!」
「避けちまった、けど……今はこうして名前と話せてることがほんとに、すっげぇ嬉しいよ。俺」
急に真剣な表情で、真剣な声で言うから、思わず心臓が飛び出しそうになった。
自ら私を避けていたくせに、今になってそんなこと言うのは反則ではないだろうか。
私だってあの時、急だったとは言え赤也に名前を呼んでもらえて嬉しかった。
無視されてたことなんかどうでもよくなるくらい、今だって赤也に抱きついてしまいたいくらい嬉しいと思ってる。
でも、今更素直に喜べるほど私は単純な人間じゃ
「今日席替えして、名前と喋るチャンスが出来たと思ったけどさ。お前、松浦とばっか喋ってたな」
「それは、松浦君が話しかけてきてくれるから」
「んじゃ、明日から俺も話しかけていいか?」
「えっ」
「だってもう避ける理由ねーし、そもそも理由なんて具体的に無かったんだけどよ…だから」
「……い」
「ん?」
「いいに決まってんだろーーー!!」
どうにも我慢できなかったthe単純な私は、赤也に抱きついた。
抱きついたというより、赤也の腹部に思い切りタックルしたと言った方が正しいかもしれない。
だって赤也から「ぐふッ」って声が聞こえたから。
コロリと吹っ切れてしまった私は、赤也の腹に頭をグリグリ押し付けた。
「おいおい、態度激変じゃん?」
「もー!ほんと赤也と話せなくて辛かったー!だって何の心当たりもないのにガン無視するからさー!あ、もしかして小6の時に赤也のランドセルに大量の蝉の抜け殻入れたことまだ根に持ってる?」
「いや、それは思い出させんなよ…」
「あー、ごめー!」
赤也から体を離して、近くにあったベンチに腰を下ろした。
私は赤也に対して昔からこんな感じだったから、久しぶりに本当の自分を出せた気がする。
赤也とまたおしゃべりできて、心の底から嬉しい。
さっきと打って変わって元気ハツラツな私に、赤也も笑顔を見せた。
「やっぱお前、そっちのがいいわ」
「うん!ほんとにもうなんであの時シカトしたの!具体的な理由もないのにあの仕打ちはないでしょ!」
「いやな〜、ほんっと具体的な理由ねーんだよ。…あえて言うなら思春期ってやつ?」
「しょーもな…バカだもん…」
「おい!そのリアクションはねーだろ!俺にとっては結構深刻だったんだから!」
「そんなしょーもない赤也の事で悩んで泣いてた私が一番しょーもないよ。」
「ふーん?やっぱ泣いてたんだ?俺のために」
赤也はニヤニヤしながら私の顔を覗き込んでこられてとてつもない苛立ちを覚えた私は、今世紀最大の力を込めてデコピンをかました。
「銃弾打ち込まれたんかと思った…!」
「さてさて。帰ってドラクエやろっかな!」
「おう……え、うそ、ドラクエ買ったの!?マジで!?」
「もちろん赤也にはやらせてあげないけど」
「そういう奴だよアンタは」
病名:思春期
end.
おまけ→→→
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わらびもち