不幸中の幸いの幸い
いつまでもすっぽんぽんでいる訳にいかないので、持ってきてくれた体操着に着替える事にした。
パンツの方はギリギリセーフだったが、ブラの方は完全に水が浸透してしまっていたので今は完全ノーブラ状態。まぁノーパンよりはマシさ!
いそいそと体操着に着替えていると、カーテン越しに見えていた影が動いた。
「水をかけて悪かったな」
「のわっ!!」
しんと静まり返った保健室の中で急に声をかけられたものだから、なんともマヌケな反応を返してしまった。
確か鳳君の前でもこの様な品のないリアクションをしたような。もそっと可愛い反応はできないもんかね…
私はジャージに両足を通しながら、カーテン越しの跡部さんに向かって言った。
「あの、気にしないでください。下に人が居るとは思わなかったんですよね。」
「はあ?あんなもの、嘘に決まってるだろうが」
「あ。そうなんですか…」
「ま、本来ならあの野郎にかけるつもりだったんだが」
「えっ?すみません、今なんと…」
「…なんでもねぇよ。」
ジャージを頭に通しながら話を聞いていたので、布擦れの音で聞こえなかった。
なんて言ったのかわからないけど、ダイナミック水撒きって事でいいだろうか。
「着替えたら行くぞ」
「いえいえ!教室なら私一人で」
「行くのはお前の家だ」
「ああ、私の家ですか……私の家!?」
跡部さんの思わぬ言葉に、危うくベッドからずり落ちそうになった。
なんで、なんで教室じゃなくて私の家に行く予定になってる!
「お前の荷物は樺地が持って来ている。早退届も、先生に頼んで出してもらってるぜ?」
職員室に用事があるからと保健室を出て行った理由はこれか、先生ー!
「でもこれくらいで帰るわけには」
「その右頬で教室に戻るのか?」
「えっ…」
「クラスのやつらに色々思われたくねーだろ。今日はもう早退しろ。」
あ、そうか、跡部さんは私に気を遣って帰るように言ってくれたのか。
確かに、こんなでっかいガーゼほっぺに張っ付けながら体操服姿で教室戻ったら、みんなに色々思われてしまう。
毎日バカみたいにバッチリ決めてた化粧も今は全部落としてあるし、跡部さんの言う通りにしたほうが…いいのか…
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わらびもち