不幸中の幸いの幸い
「うわ〜。跡部さんっていつもこんな風に下校してるんですね!」
「こんな風ってのは、一体どんな風なのか聞かせてもらおうじゃねーの。」
「え?あの……跡部さん風。」
「その俺様風ってのは、褒め言葉なんだろうな?」
「……そうですね!」
「今の間はなんだ、アーン?」
車道を走り抜ける車の中、私は跡部さんと他愛もないお喋りをしていた。
薄々予想はしてたけど、跡部さんとこの車、とってもリムジン!
だから「跡部さん風」って言っちゃったけど、別におかしくないよね。リムジンが様になってるって意味だし、褒めてる!褒めてる!
そのリムジンの後部座席が広いのなんのって。
横になっがいソファがついてるような高級車内。
跡部さんの長い脚が伸ばせちゃうくらいの広さだもんな。なんちゅう快適空間。
「リムジン乗るの、生まれて初めてです。」
「逆に乗った事あるって言われた方が驚くけどな。」
「そんなひどい…救急車になら乗った事ありますよ!」
「そいつは違うだろ。ていうかお前、縮こまりすぎじゃねーか?んな隅っこでよ。」
だだっ広いリムジンではあるが、私は跡部さんからだいぶ離れた後部座席の隅の方に座っていた。
縮こまりすぎと言われても普通に座ってるだけだし、跡部さんのように脚を伸ばすのは違うし、というか普通に遠慮しないか?
跡部さんのリムジンだし、跡部さん居るし…
なにより隅の方が落ち着く。
「すみません、私は全然、ここで」
「ったく、そんな控えめだからあんな男に引っかかるんだよ。」
「え……は、あはっ!そうですよね!もう、ほんとそうですよね!」
ちょっと大袈裟に笑い飛ばしながら、車の窓に顔を向けた。
まったく、その通りだ。
こんな気弱だからあの時の告白だって、場の雰囲気に流されてOKしてしまった。これまで自分の意志を先輩に言えず、今まで、何を
でも跡部さんは、きっと、嫌味で言ったわけじゃない。私のダメなところを親切に指摘してくれただけで、それに、後部座席の広さを有効活用しない私が悪いし。
まぁ全然堪能できてるんだが。
「おい、苗字。」
「あ、はい……うわっ!?」
「うわとはなんだ」
「だってあの……ごめんなさい。」
呼ばれたので跡部さんの方を見ようとしたら、すぐ真横に跡部さんが座っていた。
鬼の接近なんだが…
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わらびもち