病名:思春期
放課後、委員会の集まりがあった。所属しているのは生物委員。この学校で1番幸福な委員会だと思う。なんてったって動物の世話ができるんだからな!!
今回の委員会会議では学校で飼育しているヤギのメリーとサリーのゴハン当番、掃除当番の持ち回りを新しく決めた。
私は水曜日担当、3年の桑原先輩と一緒にやる事になった。
つまり今日、メリーとサリーの小屋を掃除しに行かなくちゃならない。
昨日当番だった私からしたら、またメリーとサリーに会えるのは喜ばしい事だ。
桑原先輩と小屋の掃除をした後、メリーとサリーにブラッシングをした。
ブラッシングをするのは初めてらしかった桑原先輩は、メリーとサリーと触れ合うことができてすごく嬉しそうだった。
見かけが少しいかついところもあって最初は怖い印象だったが、桑原先輩はとてもいい人だ。動物好きに悪い人はいない。
メリーとサリーと桑原先輩に癒されたし、なんだかんだ今日は委員会あって良かったなー!
メリーとサリーに別れを告げた後、途中まで桑原先輩と帰る事になった。
と言っても、帰るのは私だけ。桑原先輩には部活があるらしい。
「先輩、実は私も今から部活なんですよ!」
「なんだ、そうなのか?」
「はい!今からまっすぐ家に帰ります!」
「へえ〜…ってただの帰宅部かよ!」
「ただのってなんですか!?毎日寄り道せずちゃんとまっすぐ家に帰ってるんですから!」
「ええっ?悪かったよ…。でもたまには友達と寄り道するだろ?」
「しませんねぇ、するとしても一旦家に帰ってから出かけます。」
「マジで帰宅部極めてんだな。」
「制服姿でウロウロして万が一補導されたら嫌じゃないですか。あと個人的にこの制服苦手なんですよね。」
「後者が主な理由っぽいな…そんなにダサいか?」
「いえ、可愛い服が苦手なんです。いつもズボンしか履かないので。」
「なるほどな。でもまぁ似合ってるぜ?」
「桑原先輩…!メリーとサリーにブラッシングできてルンルンなのはわかりますが、無理がありますよ!」
「なにがだよ!そっ、そんなに俺、ルンルンしてたか!?」
メリーサリーと別れてからもずっとほくほくしてらっしゃいましたよ。
でも本当に優しいな桑原先輩は!こんなくだらない話に付き合ってくれるんだからね!
いろいろ話しているうち、テニスコートが見えるところに差し掛かった。
ラケットでボールを打つ音が聞こえてくる。
「じゃあ、俺はここで。」
「はい。部活頑張ってくださいね!」
「どうもな。」
そう言うと、部室だと思われるところへ消えて行った桑原先輩。
桑原先輩ってテニス部だったのか。今初めて知ったな。
「テニス部…」
テニス部は、赤也がやってる部活動。
小学生の時、赤也は中学に入ったら断固テニス部に入ると主張していた。
小さい頃からテニス大好きだったもんな〜。
そんなことを考えていた私は、無意識のうちにテニスコートに居るであろう赤也の姿を探していた。
「おっ、いた!」
向こうの方のベンチで座っている黄色いユニフォームを着た赤也を見つけた。
うわ〜ユニフォーム姿の赤也…結構イケてるじゃん…
遠目からユニフォーム姿の赤也に見惚れていると、視界の端に女の子が見えた。
その子は赤也の隣に座りながら、ドリンクを差し出している。
差し出されたドリンクを笑顔で受け取る赤也を見て、喉の奥に何か詰まったような、よくわからないひどく苦痛な感覚に襲われた。
そりゃそうだ。あんなに可愛い子にドリンク渡されて、笑顔にならないわけがない。
楽しそうに話す2人を呆然と眺めていると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、ユニフォームに着替えてきたらしい桑原先輩が立っていた。
「どうした帰宅部。帰らないのか?」
「あ、はい、そうなん、ですけど、メリーとサリーのとこに忘れ物しました!!ちょっと取りに行ってきます!」
桑原先輩に頭を下げた後、身を翻してメリーとサリーのところへ走った。
忘れ物なんかしてないのに。
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わらびもち