桃色
04
観戦後、名前は及川と食事をしながら試合の内容について話した。分析した意見は及川とかなり似ているものが多く話は途切れる事なく続く。
あれ、楽しい。こんなにバレーのだけ考えて話せたのはいつぶりだろうか。
そう思ったのと同時に、進めようとしていたフォークが止まった。
「影山ってさ、今バレー楽しい?」
及川は今の感情に気づいているのだろうか。答えに迷っていると、及川は顎に手を置いて私が口を開けるのを待った。
「…バレーはずっと好きだよ、大好き。けど、それ以外が…注目されるのも、タレント扱いされるのも、ファンも歓声も…全部嫌い」
高校の時から注目されていて、薄々感じていた感情が社会人になってからは確信に変わった。チームに属して給料もいただいて、バレーをさせてもらっている後ろめたさがあって言い出せなかった本音。こんな事言っても反感を買われるだけだから。
何故か目を合わせられなくて視線を落とす。
「しょうがないんじゃない?美人だしさ、俺みたいにカリスマ性があるし」
私の意見を肯定しないところが及川らしいと思った。ちょっとナルシストなところも。やっぱり、何故か気を遣わずに言葉をすっと出す事ができた。
「でも、バレーだけ考え「それにさ」」
言葉を遮られ、及川を見た。飄々とした見た目とは裏腹に瞳に熱い意志を持つ瞳。彼の両手は私の手を包み込んだ。
「背負ってるだろ、日本」
「!!」
私の手を握る力が強くなった。
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