桃色

03


「マジで来た」

「…冗談だったの?」

今シーズンの試合をすべで終え、自分の時間が作れるようになった。チームとの共同練習もしばらくはない。その期間に頼まれたCMオファーも断ることに成功したので、無事現地の空港で私と及川は再開した。

「いや、マジだよ。それにしても、実際に会うの中学以来じゃない?」

「うん、久しぶり。相変わらず及川ってかんじだね」

それ褒める?褒めてるよね?と何度も確認されたがしつこいので適当に相づちを打った。

「ねえ、試合見に行きたい」

「わー、言うと思ったよ!このバレー馬鹿姉弟!!」

来て早々そんなことを言うものだから及川が叫んだ。姉弟揃って脳内にバレーのことしか考えられないのだろうか。及川はかつて後輩だった彼女の弟の事も思い出さずにはいれなかった。

「及川に言われたくない」

名前は思わず笑みが溢れた。それを見て一安心したのか及川も安堵の笑みを浮かべた。

「よかった、影山が影山してる」

アルゼンチンに行って日本語が下手くそになったのだろうか。意味は理解できなかったが、名前も変わってない及川の振る舞いに安心したのは事実だった。及川が言いたかったのはそういう事だろう。

「で、試合観に行く?」

「はいはい、言うと思って買ってるよ」

名前の瞳がキラキラと輝いたのを及川は見逃さなかった。
中学の時より背も高くなって、テレビを見て知っていたものの、顔立ちも益々綺麗になっている。

そんな彼女に、今度こそ伝えよう。

及川はチケットを持ってる手と反対の拳を強く握りしめた。

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