落花流水
014
3つ目の城にたどり着いたとき、飛信隊の猛進撃が始まった。玉鳳隊の井闌車に我が物顔で乗り込むと蒙恬ぎしたように縄を所持し一気に門をこじ開ける作戦に出ていた。
「お前らに誇りはないのかァ!!」
「うっせェ!そんなチンケな誇りなんか持ち合わせてねぇのが俺達の誇りだ!」
ぎゃーぎゃーと盛り上がっている門の上を見上げる。信殿らしい戦い方で、思わず口角が上がった。
「おい名!!なに呑気に見てんだ!お前らも手伝え!!」
かなり高い所から叫んでいるはずなのに物凄く聞き取れる声量で信は怒鳴る。自分たちは信が門を開けて突入したところを援護でもしようかと考えていたからである。
しかし、信という男の声は何故か身体の内側ににまで響く。また、心を揺さぶられた気がした。らしくないなぁと思いながらも、戦略を考え直すのに時間は要さない。信の誘いに乗ることにした。部下たちは多少驚きながらも隊長の彼女についていくという意思は変わらなかった。北西寄りから風が吹いた。
「ここ数日、私、変なの」
井闌車を駆け上がりながら名は隣にいた部下に呟いた。段を登るごとに息が上がる。これは疲れではなかった。それは高揚だった。そう、彼女は高揚していたのだ。
「本気になろうとしてる、生きようと、してるの」
喜びか、興奮か。名の頬は薄紅色に変わっていく。
「…信殿!」
井闌車を登り切ると見覚えのある飛信隊の兵士が幾人かこちらを向いていた。私を呼んだ本人はあろうことか綱で門の上から降りようとし、今、敵兵がいる中戦っていると、そう伝えられた。
後を追って降りていく飛信隊。その中で敵兵と戦闘している信を見つけた。
「信殿!」
私の声が聞こえたのか、敵兵の攻撃を真っ向から打ち返し、振り向きざまに信は叫んだ。
「随分と遅っせぇなぁ!名!」
割と危機的状況の中、不敵な笑みを浮かべた信、それは名に対する挑発。その挑発を受けた彼女は血の気が多い性格ではないが、受けてたった。
「直ちに飛信隊に加勢し、門を内側から開けましょう。二手になって…」
戦は終わり、今回は飛信隊が大きな功績を挙げてみせた。
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