落花流水
026話の別視点
この3隊が連携することで輪虎を打つという蒙恬の提案。しかも発案者は輪虎を狙わずに 1番のつぶれ役を買って出たのだ。
「この重要な役回りは今の玉鳳も飛信隊もこなせっこない。楽華隊はそういのに長けてる上に名もいる」
「そういや何でアイツは楽華にいんだよ」
話が逸れたが、蒙恬は無理に軌道修正しようとはせずに難なく答える。
「俺の事が好きだからじゃない?」
「マジか!」
冗談で言えば信は疑うことなく衝撃を受ける。王賁はまたつまらない事を言っていると半端呆れた目でこちらを見た。
「奴なら最初玉鳳の所に来たぞ」
「え…ほんと?」
「なら王賁の事が好きってことか⁈」
「「違う」」
信の勘違いに王賁が答えるならまだしも、間を待たずして蒙恬も否定した。
「”借りでも返しましょうか”だと。無論必要ないから追い返した」
「お前に何の借りがあんだよ」
「あー、井闌車のときじゃない?」
肯定も否定もせず王賁はこの話を続けるのは無駄であり、これ以上関与しないと言わんばかりに睨んだ。蒙恬は心なしか落ち着きがない。
『王賁殿、借りでも返しましょうか。私けっこう上手く立ち回れると思うのですが』
以前落とした指輪は革で作られた紐を通し首飾りとなって首に下がっている。それに手を当てて王賁に見せてきた。
『お前の助けなどいらん』
まだその時のことを覚えていたのか。律儀なのかしつこいのか王賁は考えるのをやめた。
『そうですよね…また機会があるときにします。しかし、これで安心して楽華隊を志願することができます』
『貴様…』
名は名で玉鳳に入っても活躍の振り幅が狭いことを分かっていたのだろう。王賁の立てる作戦下では程よい隙が生まれないから、それは策がうまくいけば完璧となり得るが一歩間違えれば窒息する。あまりでしゃばると誇りの高い兵からの反感を買いそうだしと、呆気なく引き下がる。
「奴は…」
そう言おうとして途中でやめた。無意味な会話に、さらに火を注いでしまうような気がしたからだ。
「途中でやめたら気になるじゃん。何、俺の知らないうちに名と何が…」
「やっぱりよ、王賁の事が」
「「違う」」
だからなんで蒙恬まで否定するのか。王賁は蒙恬を横目で見た。
奴は。
奴はお前の元で戦う時が一番自由に羽を広げることができるのだろう。そう思っただけだった。
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