星屑
10
結局、私はその魅力的かつ危ない香りのする提案を受け入れてしまった。自分が情けない。やっぱり誘うべきではなかったと後悔してももう遅い。
そういえば、新開と福富と遊ぶのはこれが初めてだということに気づく。クラスの打ち上げのときくらいだろう。人数もいるし、普段行動をともにするメンバーは全く違う。そのためお互い存在に気づくか気づかないかレベルの距離感であった私達。随分と距離を縮めてしまったものだ。
「考え事してるところ悪いけど、ファミレス行く…って良くそんな所にいるな」
「心臓がもたないからね。これは仕方のない事だよ」
新開は駐車場に車を止めて一息ついたので後ろを振り返った。すると後部座席は石垣が占領していて、名前はというと前の座席と後部座席の間にすっぽりとハマって体育座りをしていた。女性の中では平均的な身長ではあるが、華奢なこともあってそこに居座ることに成功したのだろう。
「…おめさんもちょっと間抜けなとこあって安心したよ」
「えっ悪口だよね…?」
福富はというと誰かに連絡をしていた。心なしか楽しそうに。彼の隣の新開も同様であった。
「靖友もいるかな」
「靖友…?あ、高校のときの荒北くんか」
だから彼らは嬉しそうだったのだ。一人で納得をする。しかし、そこで問題は起きた。戦友とも呼べる人たちの中ではイレギュラーな私が彼らに付いていってもいいのかという問題である。
「私お邪魔したくないから別の席で食べようか?」
「そんな事気にする奴らじゃないさ」
そう言われるのでお言葉に甘えることにした。強く断れないのが私の癖ではあるが、彼らに言われてからこの性格も少しは好きになれたと思う。
「石垣くん、ご飯食べに行こう…って全然起きる気配ない」
仕方ない。二人いわく先輩に気に入られ散々今日は働かされたらしい。そおっとしておいてあげようと、彼を車の中に残して行くことになった。風邪を引くといけないから私の上着を一枚彼にかけて出ていくことにする。
やっぱり、物腰柔らかくて気が利くし、愛想だって良い彼のことだ。気に入られるのは頷ける。サークル内でそうなら大学生活だって彼のことを気に入って沢山の人が彼の周りに集まるだろう。彼の良さが周りに認められて嬉しい反面、そうしたらきっと、私と関わる機会も減ると思うと少し寂しくなった。
電話している金城に荒北は疑問を投げつける。
「誰?」
「お客さんだ」
「だから誰?!」
全く身元を特定できる情報を提供しなかった金城に思わずツッコミを入れる。それに対し笑みを浮かべる余裕のある金城。
「俺たちのよく知っている奴らだ。あと佐々木さん」
「割と多い名字だけじゃわっかんねェ!!」
そんな彼らが再会を果たすまであと数分もないときの出来事であった。
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