星屑

02


「あ、石垣くん」

彼女とであった翌日の事だった。俺は再び彼女と再会を果たすことになる。そこは食堂だった。俺はそこで定食を頼んで、席についた。入口にいた彼女は親しげに数人と話しているところを俺が見つけ、そして彼女と目があった。

小さく彼女が手を振ったので、俺も周囲の目が気になるけれども小さく振り返した。それに気づいた彼女は笑ってくれた。

食堂に並ぶ列に紛れて人気の多いこの空間だとすぐに彼女を見失ってしまった。彼女はもう友人ができたのだろう。あの容姿に加えフレンドリーで壁を作らない彼女ならすぐに友達と呼べる人がいるに違いない。彼女と自分を比べると虚しくなってきた。

「A定食、美味しくないの?」

「いや、旨いで…って佐々木さん?!なんで此処に…」

後ろから声をかけられて振り返りながら答えるとそこには先程まで友人と一緒にいた彼女であった。

「良かった。私もA定食にしちゃったんだよね。美味しくなかったらどうしよって心配して損したー」

あ、となりいい?と聞かれ断れるほどの勇気は持ち合わせていないし、寧ろ嬉しいが、何故今彼女がここにいるのか理解できていないのと、焦りと緊張でとりあえず頷く事しかできなかった。

「友達はええんか?」

「うん、平気だよ。それより、暗い顔してるね。ペットの金魚が死んじゃった?」

「いや飼っとらんわ…ははっ。佐々木さんは凄いなぁ」

思わぬ推測に笑ってしまった。そしてその笑みはすぐに自傷に変わる。定食を見つめたままこちらをむこうとしない石垣に名前は問いかけた。

「何が、凄いの?」

「一人暮らしで新しい環境に慣れてない筈なのに、もう仲間や都会に溶け込んどる。それに比べ俺は…」

「私だって…新しい環境が怖いよ。一人暮らしだって」

言葉を遮ってそう言った。その時やっと石垣は彼女の方を向いた。彼女の表情はいつもの愛想の良い顔ではなく、本当に不安そうで眉は八の字に下がっていた。

「きっと殆どの人がそうなんだよ。不安って伝染するらしいから」

孤独と感じているのは俺だけではない。新しい環境に慣れてないのだって、友達が作れるのか不安になっているのだって皆同じだと、彼女は言った。

「石垣くんなら大丈夫。いつもの自分を取り戻せたら。少なくとも私は…」

「ありがとうな。ホンマに、ここに来てから助けてもらってばっかや」

名前は後半にかけて声が小さくなってしまった。そして、話を遮ってまで石垣は感謝を伝えずにはいられなかった。彼女の片手を両手で包み込んで上下に揺らす。

「ふふっ!そんなに?面白いね」

「俺は真面目や!」

真剣に感謝を伝えたつもりが思わぬところで彼女の笑いのスイッチを押してしまったのかもしれない。いつまでも笑い続ける名前に対して石垣はムッと苛立った。

「私も不安なんだ。仲良くしてね、石垣くん」

「勿論」

そう言うと、嬉しそうに彼女は笑った。彼女は初対面の俺にどうしてここまで接してくれているのだろうか。多少の違和感を覚えたが、彼女が嬉しそうに笑うのでそんな事どうでも良くなってしまった。つられて俺も笑い出した。

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