星屑

05


数日後石垣と教室でであった。教養科目の内一つたげ彼と被っていたようだ。この科目は友達と合わせて取ったものでは無く自分の興味を引いたから履修した科目だったので、知り合いがいて安心する。

彼の隣に座る許可をもらうと彼との間に荷物を置いたため一つ席を空けた状態で受講する。彼と挨拶をした段階で分かった。彼が抱いていた悩みは解決したのだと。生き生きとした本来の姿を取り戻していた彼を見て名前は嬉しく思った。あの時と同じ表情をしていたから。

「何かいい事でもあった?」

「ああ。佐々木さんのおかげや」

そう言って彼はありがとうと感謝を伝える。彼女は不思議そうに首を傾げた。

「私はなにもしてないよ」

「いいや、おかげできっかけを見逃さずに済んだ。佐々木さん、ありがとう」

以前よりも関西の方言が強くなっていた。いや、本来の彼に戻ったのであろう。

「そうであったとしても、解決したのは自分でしょ?自分の力だよ」

そう言って断固として自分は何もしていないという主張を貫き通した。

石垣はスーパーで新開と福富に出会って新開の家で食事をしたときに、新開の優しさに触れ、このままの自分を変えないといけないというきっかけを貰った。だから自転車競技部に入るという決意を自分で決めたのだ。しかし、それは彼女なしでは成し得なかった事かもしれない。そう思うと石垣は感謝を伝えずにはいられなかった。

「俺な、自転車競技部に入ったんや。この大学を選んだのもそれで…」

「ブッ…自転車競技部?!ロードレーサーなの?石垣くん」

むせたのかと心配してテッシュを渡してくれる石垣のお母さん節も今はどうでも良かった。

どうして自分の周りはチャリ馬鹿ばかり集まってくるのか。こうなってくると自分に原因があるのかと疑ってしまう。

「そうやで。入部するの躊躇ってたけど…ってロードレース知っとるんやな」

「大学もそれで決めたってことは高校も?」

「やってたで。どうしたん、佐々木さん」

彼女は机の上で項垂れていた。その理由が分からない石垣は心配そうに彼女に問いかける。大丈夫だと言っているが大丈夫そうに思えない。

「私の高校が何処か言ったっけ?」

「いいや、聞いとらんけど…何処なん?」

フラフラと目が虚ろに起き上がると名前はそう彼に対して問いかけた。聞いてないことを伝えると、だよね、と乾いた笑いを浮かべている。

「箱根学園」

「ええっ、ハコガク?!福富や新開と同じ…」

「やっぱり出会っちゃうよね!!うわーん」

「佐々木さん?!」

自転車に対して恨みなど微塵もない。しかし、強豪校でしか生活したことがない私にとって、自転車が私の生活に関わらないような大学生活を願っている自分がいた。大学が始まってすぐにその夢は壊れることとなる。気になっている男子が自転車競技部ならもう絶対にロードに関わらないといけないのかと彼女は絶望せざるを得なかった。

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