「いえーい大勝利ー!」
「きゅばば」
今日も今日とて、喧嘩をふっかけてきたトレーナーとのバトルに見事勝利した私たち。よっしゃー!と手を振り上げて喜ぶ私を呆れたような笑い顔で見つめるハジメくんはもっと喜べばいいと思う。でも尻尾がどこか小刻みに揺れているからきっと嬉しいんだろう。わかるよ、君もドラゴンタイプだもんね。意外と血気盛んで負けず嫌いだもんね。素直じゃないだけだもんね!
「ねぇねぇハジメくん、キャンプ帰ったらいっぱいカレー作るから一緒に食べようね!」
「・・・・・・きゅう」
そんな素直じゃないハジメくんに抱きつくと彼は少し目を逸らしながらそっと遠ざけてくる。なんだと、私からくるのはダメなのか。地味にショックではあるが、尻尾が大きく揺れ始めたのでよしとしよう。君たくさん食べるからね。きっと食べるのが好きなんだろう、うん。
ニコニコしながら頷いていると、先程バトルしていたトレーナーのポケモンから信じられないものを見るような目で見つめられる。ん?と首を傾げて見つめるが、私が見つめ返すと慌てたようにトレーナーの腕を引っ張って去っていってしまった。え、何その反応。慣れてるとはいえへこむ。何かおかしいのかときょろきょろ見回すと一部のポケモンから目を逸らされたり隠れられたりして、なんなんだと小さくため息を吐いた。
「なんかこういうの多いなぁ」
そうなのだ。最近、というか割と昔からポケモンから逃げられることが多い。それが野生であっても、誰かの手持ちのポケモンであっても。嫌われているわけではないと思う。ただ、仲良くしようとしたり捕まえようとすると怯えて逃げられるだけで。野生ならばそりゃそうだよね〜で済まされるが誰かの手持ちのポケモンは人慣れしているはずなのに、だ。あれ、嫌われてるよりも怖がられてるほうが結構やばいのか?わからん。
今回もそうだ。ただ目を合わせただけなのにまるでアリアドスの子を散らすように逃げられてしまう。なんで?別に何もしてないのに。お陰で、私が触れるポケモンは逃げないでボールに入ってくれた今の自分の手持ちくらいなものである。全くの遺憾の意だ。私だって、他の人のポケモンを可愛がったっていいじゃないか!
肩を落とした私の背をハジメくんがつつく。
「ハジメくん?」
気にするなとでもいうような風体ではあるが、なんだか不機嫌な様子だ。まるでここにいたくないとでもいうように、ぐいぐいと背を押されてわわわと声をあげて歩き出す。なんなんだろう。さっきはご機嫌だったのにと疑問が浮かぶが、そんなにご飯が楽しみなんだろうか。それで私が一向にキャンプに向かわないから不機嫌に?え、なんかそれ可愛いな。
「大丈夫だよ〜ご飯は逃げないから!」
何故かハジメくんにわかってねぇなぁとでもいうような雰囲気になられて、そっとため息を吐かれた。解せぬ。
「なぁ」
「はい?なんですか、キバナさん」
「や、勘違いだったら悪いんだけど、よ」
「?」
「あー・・・・・・お前のドラパルトってさ」
「ハジメくんですか?」
「・・・・・・やっぱなんでもねぇわ。うん」
「えぇ⁉︎なんですかそこまで言われたら気になるじゃないですか!」
「つっても、俺様はお前の相棒に殺されたくはないからな。あとお前・・・・・・真っ当に幸せになれよ・・・・・・」
「えっなんで⁉︎なんでいきなり私の親みたいなこと言うんですか⁉︎」
「いやだって、お前・・・・・・」
「何その憐れみを込めた目⁉︎」