tkrv
ネタ供養のためなので、すごく短いです。
キャラも最後にしか出てこない。夢なのにも関わらず名前が出てきません。
続きが消失したので続かないはず
***
突拍子もないことを告白するが、私こと来道司は転生者である。
転生というと最近流行りのアニメや漫画、ラノベでよく知られた言葉だ。サブカルチャーにより生まれた言葉だと思われがちだが、仏教には輪廻転生という教えがあるし日本なら平安時代まで遡れば菅原孝標女の「浜松中納言物語」なんかもその系統であろう。物語の中ならやるべき使命があったり決められた運命に抗ったり、時には人間じゃなかったり。そんな感じのSFを想像していたのだが、自分がなってしまうと拍子抜けだ。なんせ生まれ変わったのは平成で、しかも私が生まれた平成よりももっと前の年号である。時間は違うがバリバリ日本だ。それなら特殊能力でも持って生まれたか?と思っていたがそんなわけはなく。前世通り普通のスペックのままで産まれてきた。ま、現実なんてのはこんなもんだろう。むしろ世界基準で見たらそれなりに平和な国に五体満足で生まれてこれた事を感謝すべきだと思う。前世の記憶もセットなのでその思いはひとしおだ。平凡万歳!
心残りがあるとするなら、それは前世で置いてきてしまった家族のことだけだ。「これからちゃんと親孝行しなきゃなぁ」と思っていた時にトラックで跳ねられて死んだので、親孝行も何もなくなってしまった。それどころかとんでもない親不孝者である。呆れられてはいたけれどちゃんと愛してくれていたから、きっと泣いているだろう。こんな厄介者をちゃんと育ててくれた両親に、「私は元気です」と一筆かけるものなら書きたい。迷惑はたくさんかけてきたけれど、大事な家族だったのだから。
・・・・・・なんだかしんみりしてしまった。私らしくもない。過去の回想はこのくらいにしよう。
ところで、そろそろ転生先のこの世界の話をしたいと思う。この世界は、ある一点を除けばただの日本だ。そう、ある一点を除けば。
どうやら、前世で美形と持て囃されていた人々が今世の不細工で、前世で不細工と言われていた人々が今世の美形なようなのだ。今世の人々にとってはこれは普通のことなのだが、前世を持つ私にとっては男女含めた美醜感覚の逆転ということである。これには流石に目を剥いた。顔の良し悪しなんてそれぞれの好みなのでそこまで気にしたことはなかったが、この世界は違う。みんな一様にして低身長で肥満気味で脂ぎった肌をした衛生的に汚い(と私が思う)人々を熱狂的に祭り上げているのだ。例えば芸能人や俳優にモデル、「この世の最も美しい顔ランキング」みたいなのに載る人々なんかはとんでもなく衛生的に汚くて、逆にホームレスや浮浪者、虐められたり差別される人々なんかはとんでもなく美しかったり可愛かったりかっこよかったり。この差が逆転することはない。表の華やかな部分に前世の醜いとされる人々が、裏の闇が溢れる部分に前世の美しいとされる人々がいる。つまり、前世であまりよろしくないとされていた人々が今世ではとことんちやほやされ、前世でこれが理想とされていた人々が今世ではとことん蔑まれる。まるで昔西洋で行われたという魔女狩りのように。
なんだかなぁと思ってしまう。だって、顔や体型の良し悪しでやれることが決まってくるなんてそんなのおかしいと思う。いつかは終わる人生なのに、やりたいことができないなんてそんなの世界の損失だ。差別されている人々がまだ見ぬ才能の原石かもしれない。そういうふうに考えたりはしないんだろうか。しないからこうなんだろうなぁ。と、そんなふうに思うからか、前世で親の付き合いで見ていたけれどそれなりに好きだった本や漫画、アニメを見る気も失せてしまい。ドラマや映画、テレビなんかも生活から遠ざかっていって。そうなってくるとやることがなくなったのでこれはかなり恨んでいる。神様このやろー、余計な事しやがってとは思うが、そもそも前世の記憶なんてもってる私がこの世界にとってはイレギュラーなのだ。いちいち目くじら立てていればキリがない。そう言い聞かせて考えないようにしている。
そんなふうに自分の感情と折り合いをつけたころ、父親の転勤で神奈川から東京に引っ越した。ちなみに両親も私もこの世界では普通の顔をしている。漫画とかにエキストラとしているモブみたいな感じの顔。下手にこの世界の美人や不細工に生まれてこなくてよかったなぁと失礼ながら思ってしまっていた。まあそれはともかく転勤により引っ越しをして、それでもって当たり前だけど転校もして。でも東京にやってきたのは土曜日という休日の日にち。引越しの作業にてんやわんやになっている両親に邪魔だからと追い出され、家から数歩歩けばつくような公園で木の棒を持って地面に絵を描いていた。
・・・・・・なんでこんなことをわざわざ話しているかというと。
「やーい不細工!」
「あっちいけよ!ブスが移るだろ!」
「よくそんな顔で出歩けるよな、キメェからもう学校くんなよ!」
私が絵を描いて遊んでいる近くで虐めが行われているからである。声を荒あげているのはイケメン()の男子と取り巻きの何人か。黙って下を向いているのは不細工()の男子。多数対一人というこれまた卑怯な対立だ。ってかいいの?虐めってもっと裏でコソコソやるもんじゃないの?私がいるの見えてないの?そう思って周りを見回すが、周りの子供たちもいじめられている子供を見てくすくす笑っているだけ。大人はいるが「不細工なんだからあれくらい言われて当然」とでも言うかのように知らん顔だ。うわぁ、趣味悪いなぁ。思わず心の中で悪態をつく。虐めを集団で容認する社会とか腐ってんだろ。滅べばいいのに。
ちらりと虐められている男の子の顔を盗み見る。うーん、見れば見るほどわからない。だってめっちゃイケメンじゃん。清潔感のある短髪は藤の色をしていてとても綺麗だ。目の色も同じ淡い色味だけど少し色素が濃い気がする。なんて言うんだっけ。あ、そうだ紅碧だ。キツそうな顔立ちをしているけれど目元は垂れ目で優しそう。ギャップ男子っていうのかな、こういうの。
思わず見惚れるが、はっとして首を振る。いけないいけない、見惚れている場合ではなかった。
(助けるべき、だよね)
この世界ではどうか知らないが、少なくとも私の感覚では虐めはいけないことだ。たとえ顔が気に食わなかろうが、いくらなんでもそれだけはダメだ。だから私の正義によって行動するならば助けに入るべきだ。でも、と躊躇する。なんていって間に入ればいい?知り合いでもない相手が虐められてるからって間に入ったらなんだこいつって思われないか?というかそもそも助けに入った時に私に正義はあるんだろうか。向こうは顔のいいとされる男子がいる。顔がステータスとして高く評価されるこの世界じゃどれだけ正しいことをしても、虐められる彼と止めた私が悪いことになってしまうんじゃ。そんな悪い予感がたくさん頭の中に浮かぶ。ああくそ、どうしようと内心頭を抱えそうになって、その方向を向いて目を見開いた。何も言わない紫の彼に、痺れを切らした虐めの主犯が、石を投げようとしたのである。
「もっと男前になれるようにしてやるよ!」
それを見た瞬間、気がつけば走り出していた。石が届く寸前に男子の前に躍り出て、間髪入れずに木の棒で打ち返す。カッと音を立てて虐めグループの足元にぶつかった石はコロコロと転がっていった。何が起こったのかわからないような顔をした周囲を見回しながら、木の棒を握り直して大好きだったアニメの台詞を吐く。
「そんなに遊びたいなら、私が遊んであげてもいいわよ」
今機嫌悪いから何するかわかんないけどね、といって精一杯の極悪な表情で笑って見せれば、蜘蛛の子を散らすように悲鳴をあげてイケメンたち(笑)は逃げていった。周りの人々はざわざわとこちらを見つめるだけで何もしてこない。ふんと鼻を鳴らし、驚いた顔をしている男の子の手を引っ張って歩いていく。けれど呆然と立ったままの男の子に声をかけた。
「なにしてんの、いこ」
ちからつきた
本当はこのまま薄紫の彼こと三ツ谷とのアンジャッシュが起こりながらスローペースで進んでいく美醜逆転世界での恋愛を書きたかったんだけれど、続きが消失したのでネタ供養として置いておきます