この度テンプレート妊娠をした私ですが(後)
瀬崎英には父親がいない。
そのことを意地の悪い周囲に揶揄われたこともあるが、英は別に気にしたことがなかった。いないんだから仕方ないし、なんなら自分には母親がいるしいいやと思っていた。というか、母親である茉莉を捨てた男のことなど知ったことではない。
英は茉莉が大好きである。
口は悪いが英を可愛がってくれたし、忙しくても英の学校行事には絶対に参加してくれた。くちさがない周囲から守るように育ててくれた。手を握っていてくれた。
物心ついた頃から、英は茉莉が世界の全てだった。
なんで俺はこの人の息子なんだろう、息子じゃなかったら結婚して周りを黙らせられるのに。そう思うのも仕方のないことである。茉莉は必死に聞かせないようにしてくれたが、おしゃべりな大人が言っていた。
曰く、「男にやり捨てられて帰ってきた」。茉莉は遊びの延長で自分を産んだ。あんな口の悪さだしきっと虐待している。
ふざけんなと思ったし、父親がいないというのはそういう捉え方もされるのかと冷静に観察した。へえ、そうなのか。だから茉莉は父親の話をしないのか。いないのではなく、捨てたのか。
その頃からだった。母さんという呼び方を呼び捨てに変えたのは。
ずっとずっとこの人の相手になれればいいのにと思っていた。反対に、茉莉が選んだ相手なら、父親がいてもいいかと思っていた。だってそうすれば、茉莉に相手さえいれば、誰も何も言わなくなる。静かに暮らしていける。
そう、確かに思っていた。自分を産むための種馬が目の前に現れるまでは。
ヘラヘラしてやがる。
茉莉はお前のせいで陰口叩かれてるのに。
ふざけやがって。
「茉莉に手ェ出した種馬はお前か糞野郎!」
そう言って、自分と瓜二つの男に蹴りと共に、昔から備わっていて茉莉に内緒にしていた爆破を仕掛けたのは仕方のないことだった。
***
登場人物
瀬崎茉莉
さしす組同期。
口が悪いガサツな女。転生者。
テンプレート妊娠して、でもヒロインいるからなーと思って「よし逃げよ!」と何も言わずにやめて高飛びして逃げた。
夏油の気持ちは全く聞いてないし、それよりもヒロインの目が怖かったのもある。
術式は爆破。呪力があればそれを媒介に爆破できる。しかし本人は呪霊しかできない。
息子と幸せに暮らしていたが、この度夏油に見つかった。
夏油傑
瀬崎茉莉に手を出して逃げられた男。
思わせぶりではあったがちゃんと好きだった。今も好き。
昔茉莉に言われたとある言葉がきっかけで呪詛師堕ちを踏みとどまった。
あの日何故茉莉に手を出したかは不明だし、なんで息子のことを知っていたのかは不明。なんで今更現れたかは次回があれば。
この度息子に術式を向けられて爆破させられそうになった。
瀬崎英
夏油傑と瀬崎茉莉の息子。
外見が父親似。ほぼクローン。母である茉莉に「むしろ自分の要素どこだよ」と思われている。
冷静沈着の無表情、愛想があまりなく滅多に感情を表に出さない・・・・・・などなど割と父親とは反対であるが、母である茉莉を大切に思っており茉莉の前では猫かぶっている。父親?いらないんじゃね、今までもそれでやってこれたし。
実は呪霊が見えるし茉莉の爆破の上位互換な術式持ちで母親に気づかれる前に全部祓っているような感知の才能を持つ子供だが、母親の前では何もできない子供のふりをしている。割と計算高い。
母の呼び方は「茉莉」で外では「母」。父の呼び方はこれから先天変地異が起こるか否かで変わるが「糞野郎」でたまに「夏油傑」。
ちなみにモテる。
名前の由来は傑→この字を使った熟語あったよな→英傑→瀬崎英
こんな感じ。
ヒロイン
愛されヒロイン。
でも多分色々と抜けてるので、今生きてるかはわからない。
次回があれば夏油側の裏話と息子と夏油のバトルの話がある。