香りまして
白石夢
「それじゃあ、数学の授業を始めよか?」
そう言ってYシャツのボタンを外し始めた白石君。
何のコスプレのつもりなのか、眼鏡をかけている彼からは、どこからどう見たって同い年には見えない。
年齢詐称とかしてないかちょっと不安になった。
ついでにいえば、漂うフェロモンはいつもより3割り増しだ。
「はい、先生質問です。
どうして勉強するのにボタンを外すんでしょうか?」
あたしは腕を真っ直ぐに伸ばし、手を高々と上げて聞いた。
「そら、張り切っとるからや」
きっぱりとそう言い切った白石君にあえて何に対してなのか、という突っ込みはせずに「へぇー…。頑張って下さい」と言ったら、白石はため息を付きながら教科書の角で頭を小突いてきた。
ついでに言えば、外したボタンも止め始めた。
「なんや教える気失せそうやわ」
そう言って前の席に座った白石君からはほんのりいい匂いがした。
白石君ごめん。
せっかく教えてくれてるのに、しばらくは集中出来そうにないです。
だってあたし匂いフェチだから、白石君の香りに心拍数が一気に上がってしまって、勉強どころじゃないんです。