頭、沸く

頭、沸く
日吉夢




タオルケットをかぶり眠っているそいつに無性に腹が立った。

メールで『今すぐ来い』なんて文章を送ってくるものだから、何か急ぎの用かと思って急いで来てみればこれだ。

人が暑い中一生懸命自転車を漕いで来たって言うのにこいつはのうのうと寝てやがる。

汗でベタつく首筋がひどく不快で、ミンミンと鳴く蝉の声が五月蠅くてイライラした。

「おい、起きろ」

そう言って軽くそいつの背中を蹴ってやった。
だが、そいつは寝返りを打っただけで一向に起きる気配はない。

そのことでさらにイライラは募り、蝉の声が一際大きくなった気がした。

その時ふと、タオルケットの間から見えたそいつの足にドキリとした。

夏休みになってからいつもショートパンツのコイツの足なんて嫌と言うほど目にしていて、今更興奮するようなものでもないのに、タオルケットの間からチラリと覗くその少し日に焼けて汗ばんだ足になぜか興奮した。

思わずゴクリと生唾を飲み込んだ後、急いで視線を反らし日が差しこむ外の景色に目をやった。

これは暑さのせいだ。
こいつの足を見て興奮したのも、その足が妙に色っぽく見えたのも、さっきから心拍数が上がり放しなのも。
そうだ。全部暑さ のせいだ。

日が降り注ぐ外の景色と青い空を見て、外は相変わらず暑そうだと思いげんなりした。

それにしてもああ…。
蝉の鳴き声はこんなに耳に響くものだっただろうか。






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うぇるかむ