私のアポロン
跡部夢
嗚呼、まるで私のようだと思った。
ギリシャ神話に出てくる、向日葵になった女性クリュティエー。
どんなに恋い焦がれようとも、もうアポロンが彼女を愛してくれることはないのだ。
嗚呼、アポロン。
どうかどうかもう一度、私を見て。私を愛して。
そう思って見つめ続けても彼はもう私を見てくれない。
その事実に胸が苦しくなる。
それまで私に注がれていた彼の愛が、他の娘に注がれているのが我慢出来なかった。
だから、彼女に意地悪をした。
まさかこんな事になるなんて思ってもなかった。
その娘の姿を見た彼は私に「最低だな」と言って軽蔑の眼差しを向けた。
その目が、その声が、あまりにも冷たくて怖かった。
そして、もう、彼が私を愛してくれることはないのだと悟った。
それでも、話しかければいいじゃないかと友人は言う。
友人は知らないのだ。
彼のあの目が、あの声が、どんなに恐ろしいかを。
また、あんな風にされるくらいなら、私は遠くから見つめ続けることを選ぶ。
そうすれば、傷つかずにすむから。
なんて臆病なんだろう。