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ドフラミンゴさんにシャボンティ諸島という場所に連れてこられて、遊んで来いとお金を頂き、一応念のためにと首輪を着けられた。いったい何の"念のため"なのか。果たしてこの首輪は何の役に立つのか。重くて邪魔で仕方ないが、何か起こることを想定して、"念のため"に備えて着けてくれたようなので、大人しく着けておくことにした。
ドフラミンゴさんは仕事でここに来たので一緒に回れないと残念そうに言っていた。そのあと仕事が終わったら迎えに来ると言っていたが、この人混みのなかで私を見つけるのは中々難しそうだ。しかし、自由にしていていいと言っていたので、きっとどうにかして私をさがしだすのだろう。
シャボンティ諸島とやらはどうやら観光名所らしく、あちこちに出店やお土産屋さんが並んでいて賑やかだ。
ここがどんな観光名所なのかよくわからないので、どこをどう見て回れば良いのか分からず、取り敢えずぶらぶらと散歩しながらこの島を見て回ることにした。
辺りを漂うシャボン玉がこの島の名前の由来なのだろかと思いながらシャボン玉に触ってみると、以外にも丈夫で私がつついたくらいでは割れなかった。
地面からぽこぽこと出てくるシャボン玉に流石ワンピースの世界だなと思っていると、地面から沸き上がるシャボン玉に押し上げられて少し体が浮き上がった。
その不思議な感覚に、お?なんて思ったのもつかの間、シャボン玉は割れずに私の体をすっぽり包み込み、そのままふわふわと宙に浮き上がってしまった。
シャボン玉の内側から見える景色が珍しく一人で喜んでいる間に、どんどん高度が上がり遠くまで見渡せるようになり、観覧車が見えて、遊園地かな?なんて思っている間に辺りに木の葉が繁り始め、ついには木の上までたどり着いた時。
ぱちん
と音を立てて私を包んでいたシャボン玉が割れてしまった。
このまま雲の上まで登っていくのかと思ってすっかり油断していた私は、まさかシャボン玉が割れるとは思ってなくてビックリしてしまい、気付けば重力に引っ張られるままに地面に落ちていた。
宙に浮かんで目立つようなことだけは避けたいので、自然落下に見せかけて助かる方法を模索していると、私を助けようとこの島の植物達が枝葉を伸ばして来ていて、首にかけていたがま口の財布がその枝に引っ掛かり首から抜けてしまった。とにかくのびてくる枝に掴まろうとしたとき、膝の下と背中の辺りをすくいあげる感覚がした。
「気を付けろよばーさ……ん?」
見上げる私と、私を抱えている初老を少し過ぎたくらいの男性の目がぱちりと合う。
「女の子?」
驚いた様子の男性に、何に驚いたのだろうかと首をかしげる。
大した衝撃もなく地面に降り立った男性は、私を地面に下ろすと、しげしげと私を見てきた。
その視線に僅かに居心地の悪さを感じてきた頃「いや、悪いな。遠目で見たときは髪が白かったからばーさんかと思ったもんでな」と笑顔で言って私の頭を撫で、その手が流れるような動作でに首に移動した。
そこにはドフラミンゴさんが"念のため"と言って着けた重くて邪魔な首輪がある。
「キミはドフラミンゴの奴隷なのか?」
奴隷どころかむしろ色々と買い与えられ、可愛がられるこの厚待遇っぷりは奴隷とは違うような気がして首を左右にふった。すると男性が顔をさらに険しくさせるが、その理由が分からず首をかしげた。
「いや、違うな。しかし、こんな小さな子に……」
男性はそんなことをぶつぶつ呟きながらどんどん表情を険しくさせていく。
正直ちょっと怖い。
私何かしたかな?
そう思い始めた時、バキリと何かを壊す音が聞こえ、首にあった邪魔な重みが無くなり、ドフラミンゴさんに着けられた首輪が壊されたのだと理解した。
男性は私の頬を両手で優しく包み笑顔を浮かべた。
「よく今まで耐えてきたな。しかしそれも今日で終わりだ」
そのまま私を引き寄せ頭を撫でた男性は「私はレイリーという者だ。船のコーティング技師をしている。安心しろ、必ず君を助けてみせる」と言った。
なんだか色々勘違いしている気がするレイリーさんは、私を抱え上げ着ていたローブの下に隠すと急いだ様子で歩きだした。