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シャボンティ諸島で新世界に行くために必要な船のコーティングや食料調達などの準備を整え、そろそろ出航しようというとき、遠くでレイリーの姿が見えた。
コーティングの礼と別れを言うために上げた手は、何故か険しい表情をしたレイリーを前にして下ろされた。
「どうしたんだよい」
「急で悪いが、預かって欲しい子がいる。頼めるか?」
何故か急いだ様子のレイリーに「そりゃ、構わねぇけどよい」と返せばレイリーの着ていたローブの内側がもぞもぞと動いた。
「海賊だが信用出来る奴等だ。こいつらについてれば何も心配することはない」
ひょっこりとレイリーのローブの合わせ目から現れたその姿に、思わず目を見開いた。
「苗字じゃねぇか!」
笑顔を向ける苗字はあの日別れた時とは違い、ちゃんとサイズの合った服を着せられて小綺麗になっていた。
「なんだ。知り合いなのか?」
「ああ、そうだな。だけどなんでこんなところに……」
そう呟く俺にレイリーは何か言い辛そうな表情をして苗字に視線を移すと、苗字を地面に下ろし船に乗るように促した。どうやら苗字の前では話しにくい内容らしい。
苗字がこちらの様子を気にしつつ船に乗ると、早速ビスタやティーチ、他のクルー達にに見付かり、歓迎されてもみくちゃにされていた。
サッチなんかは嬉しさ余って涙を流して抱きついている。
そんな光景を目に入れ、レイリーをふと見るとまた険しい表情をしていた。
「どうしたんだよい」
「私が彼女を見つけたとき、首にこれをつけていた」
差し出されたソレは天竜人が奴隷に着けるようなデザインではなかったが、どう見ても首輪で、持ってみるとずっしりと重く、表面にはどこかの海賊のマークらしきものが刻まれていた。
「彼女に奴隷かと聞いたら、違うと言っていたし服装も小綺麗なモノを着せられているが、こんなモノをつけて生活をさせられていたくらいだ。恐らくだが……慰みものになっていたか、それに近い扱いを受けていたのではないかと思う」
「慰みものって……アイツはまだガキだぞ!」
「そう言う趣味の人間もいるということだ」
やっぱり島でサッチとはぐれた時、苗字は人拐いに拐われていたようだ。 苗字がそんな目に合っているとは知らず、呑気に、今頃元気でやってるかな。なんて会話をしていた自分に怒りすらわいてくる。
あのときちゃんと探していれば苗字をそんな変態の所に行かせる事もなかったのかと思うと悔しさと憤りで自然と拳に力がこもった。
「……誰だよい。苗字をそんな目に合わせた奴は。今からそいつをぶっ潰してやる!」
「気持ちは分かるが落ち着け。今はそれよりも彼女を保護してそいつから守って欲しい」
そう言うレイリーはどこまでも冷静で、それを見ていると僅かに冷静さが戻ってくるが、怒りがなかなか治まらない。
「彼女を側に置いていたのはドンキホーテ・ドフラミンゴという海賊のようだが、そいつは天竜人で、どうやら世界政府とも繋がりがあるようなんだ」
"世界政府"という単語に思わず舌打ちをする。
「分かったよい。苗字は絶対にそいつには渡さねぇ」
「ああ、頼む」
その後レイリーと短い別れを告げ船を出航させて魚人島へと向かった。



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