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エースの公開処刑当日。
マリンフォードに着いて船から下りる直前に、ドフラミンゴさんは「とりあえず、政府の奴等に気付かれねェように俺に引っ付いてろ」と言って、私を糸のようなもので自分の体に縛ると、上からいつものピンクのコートを羽織った。
初めてドフラミンゴさんに連れ去られた日を思い出して、なんだか懐かしい気持ちになった。
ドフラミンゴさんに縛られている間、何をしているのかと問いたくなるほどの浮遊感を感じたり、殺気を飛ばされたり、喧騒の中にいたと思えば、くぐもってはいるが誰かと会話していたりと、何かとドフラミンゴさんも忙しそうだが、そろそろ離してもらわなければ助けるつもりでいる命が助けられなくなってしまう。
こうしている間にも声がどんどん消えて行ってしまっているのだ。
正直辛いので、この場所から1分1秒でも早く逃げたしてしまいたいが、エースを救うと決めたのだ。そのための作戦も頑張って考えたし、足手まといにならないように、毎日トレーニングだってしてきた。
人間があまり好きではないらしく、しぶるカイロスさんと風太さんに、作戦に協力をしてもらうように頼んだ。力だって精神だって鍛えた。こんなことにならないように事前に防げたら良かったのにと思うが、私一人の力ではどうにもならない、名前をつけるなら"運命"とか"定め"とかいうやつのせいで、防げなかったのだから仕方ないと思うしかない。
ルフィのエースを呼ぶ声が聞こえる。生きることを諦めていたエースが生きたいと言う声を感じることができる。
でも、今度は反対にパパが生きることを止めようとしているを感じ取った。でも、まだ生きたいという気持ちもあって、早く助けに行きたいのに相変わらず何もできない自分がもどかしい。
早く離してという意味を込めて腕を突っぱねてみれば、身体を縛っていた感覚がなくなり、突然のことに地面に何も準備出来ずに尻餅をついてしまった。
痛むお尻を押さえながらドフラミンゴさんを見上げれば、私を厳しい顔で見下ろしていた。
「コイツつけてりゃ、少しは顔を隠せんだろ」
そう言って差し出したのは、目の部分だけ隠せるようになっている白い猫のお面だった。
お祭りの狐面のようだが、なんとなく愛嬌のあるその表情に、思わず笑みがこぼれた。
「まあ、なんだ。
政府の奴等に目をつけられるとなにかと面倒だからな。これでも着けてりゃァ、正体隠せるだろ」
そう言いながらドフラミンゴさんはお面を着けてくれた。
鏡もないので、このお面を着けたところを見ることは出来ないが、顔の半分程を隠された状態なら、指名手配とかされても顔がわからないから上手く逃げれそうだと思い、改めてドフラミンゴさんにお礼を言った。
「……ありがとうございます!」
そう言って頭を下げると、ドフラミンゴさんは「気にするな」と言って、私を励ますように背中を押した。
その勢いに押され、私は急いでエース達の声のする方に走っていった。
どうやらドフラミンゴさんは人の少ない住宅街で私を解放してくれたらしく、住宅が邪魔になっていて、今私のいる場所からエース姿を確認することはできなかった。
エースがいる場所まで走って移動して、着いたら体力を消耗してしてしまっていて、役に立つどころか足手まといになってしまっている。なんてことになるのを避けるため、上空で待機していた風太さんを呼び、その背に飛び乗り移動することにした。
ようやく戦いの中心になっている広場に着き、向かってくる敵はカイロスさんの能力で子供にしていき、飛んでくる銃の弾は風太さんの能力で防いでもらいながらエースの元に向かった。
ようやくエースの姿が確認できる距離まで来たと思えば、エースがパパに頭をさげているところで、船に向かって走り出すところだった。
なんだ、エースは助かったのか。じゃあ、私はパパを助けに行こう、と方向転換を風太さんにお願いしようとしたとき、誰かがエースに立ち止まるなと叫ぶのが聞こえた。
見れば赤いスーツを着た人とエースが何か会話している様子だった。
あ、デジャヴ。
私が紙面で見たのは、あの人がエースのお腹から拳を引き抜いている場面だった。
じゃあ、あの場面はこれからなのだと理解して、どうするつもりだ?と止まって私の指示を待っていた風太さんに、エースの元に向かうように伝えた。
赤い人とエースの拳がぶつかり合い、轟音がとどろきその拳から発生した熱風が広がっていき、まだ離れた場所にいる私達のいる所まで届いたその熱風が、髪をかきあげる。
熱風の熱さに思わず目を閉じて、開けたときにはエースが怪我をしていて、赤い人がエースに何か話しかけている。ルフィが膝をつき、それを心配にしたジンベェさんがルフィにかがみこんでいる。
喧騒のなかで会話する声が耳に届いた。
後、少しで届く。
手を伸ばす。
腕を振り上げる。
その首筋に
触れる。