二十一、一挙両失 参
すんなりと視界が明瞭になったことがおかしかった。
土砂に埋もれている割には身体が軽い。そう思いながら上半身を起こすと、灯籠が隅からぼんやりと薄暗い屋舎を照らしている。どうやら土蔵のような場所だった。
数人の人間が慌ただしく外に飛び出していったのを目の端で捉える。扉から差し込む陽の光が眩しい。
「……ここは」
「禪院家本邸だ」
ぼんやりとした頭で問えば、至って明確な答えが返ってきた。
「禪院、家?」
そう口に出して唱えれば、一気に思考が冴え渡る。
何故、私が禪院家にいるのか。あの後どうなったのか。どのくらい時間が経っているのか。そして──
「宿儺様は……?」
平安編 了
禪院編につづく