ここはそこで、私はわたし?




ずっと心の底で思っていた。
もし、もしも生まれ変われるのならもっと楽しく明るく生きてやろうって。


「……、……!」

どこかから、声が聞こえる。

いや、そもそもどこよここ。
というかあれ? 私どうなったんだっけ……?

「……てよ。……と、いっしょに……!!」

待って、まだ少し頭が痛いから、できれば話しかけないでほしい。身体を揺らさないでほしい。

むしろもう少し寝かせて……。

とはいえ、相手の話し声は止まないし、行為がエスカレートする前にともぞもぞと体を動かしてみる。どうやら机に伏せて寝ていたようだ。動かしているうちに少しずつ、感覚が戻ってきた。よかったとりあえず生きてた……と、息をついたその瞬間。

「ちょっと! いい加減起きてよ、美里!」

誰かに激しく揺り起こされた。私はわけが分からず、とりあえずぼーっとしながら顔を上げる。

…………どこ、ここ。

ぼんやりとした視界に飛び込んできたのはいつもの教室……ではなく、もうちょっと高級感がある感じの教室だった。机や椅子はプラスチック素材の、手触りが良いもので、どう見てもお金がかかってそうだ。おかしい、うちの学校はそんな経費ないどころか木の素材のはずなのに。

しばし沈黙した後、「は?」と思わず声がもれた。
おかしい、という感情しかわいてこない。ぼけっと混乱していると、テンション高い友達(と思われる女の子)に不服そうに隣で叫ばれてしまった。

「は? じゃないよぉ、美里! 一緒に食堂行こうっていってたじゃん! なに寝てるのぉ〜!」
「……ご、ごめん?」
「もー仕方ないなぁ。じゃあほら早く早く! 行こっ?」

友達(多分)に手をぐいっと引っ張られたので必然的にそっちを見て、その顔を見た途端に思いっきり目が覚めた。

「あれ!? も、桃香ちゃん!?」
「えっ? うん、桃香だけど?」

そう言っていつも一緒にいる友達がにこりと笑った。

いやいや、何でこの謎の世界に普通にいるの? 桃香ちゃん。いや、そもそも声で気づこうよ私……。

でもなんかおかしい、制服が明らかにおかしい。うちの学校はセーラー服ではなくブレザーのはずだ。

「……も、桃香ちゃん、制服変えた?」
「何言ってるのぉ、美里? うちの学校の指定はセーラー服じゃん!」

いやいやいやそんなはずは……あれ、よく見ると私もセーラー服着てる!? なんで!?

思わず自分を二度見した。どうしてさっき教室を見渡したときに気づかなかったのか、女子はセーラー服だし、男子だってしっかり学ランを着ているというのに。混乱はとりあえず、笑ってごまかすことにした。

「あー……うん? そうだったね。ごめん、寝ぼけてたわー……あはは」
「もーぉー、ちょっとは目ぇ覚めた? 早く食堂行くよ!」

これ以上待たせてはダメだ。いつもの桃香ちゃんならそろそろすねるはず。何となくそう思った私は財布を掴んで急いで立ち上がった。

「そう、だね。ごめんね待たせちゃって。行こっか!」


とりあえず、普段通りに過ごしてみることにした。
でも、段々と、状況はつかめてきた。

恐らく、これは。自分の知らない世界にきた……というより、部長の言ってたパラレルワールドへ来たって感じがするな。


嘘でしょ、という一言はキッチリ自分の中で飲み込んで消化した。



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