まとめて束ねて私のために




あれから無事に家に帰って、ちゃんとお醤油を使って料理をし、夜ご飯を済ませた私は今、机に向かって新品のノートに今日あった出来事をまとめている。

だから「こっちのわたし」はテニスが最強で、それが多分嫌で、だから私ととりかえっこした……ってことにしておこう。

とにかく状況がややこしいことになっているので、こう目に見える形にしておかないと訳がわからなくなる。仮説ばかりの図をノートに書き込むと多少は気持ちがすっきりした。そして出来上がった図を眺めながらぼんやりと考える。

自殺防止トリップ、ね……ん? 待てよ? ……1ヶ月で元に戻るって、戻ったとき大変じゃない…?

そう、戻るということはつまり、いまお互いの世界で起こってることが解らないのに戻るというわけで、1ヶ月分記憶喪失みたいになるということだ。

いやいや、いくらなんでもそれはちょっと……! あ、そうだ、日記書けばいいんじゃない!?

ちょうど目の前には状況をまとめかけているノートがあるし、日記をつけておけば戻ったときに多少は役に立つだろう。向こうの世界で「わたし」がそうしてくれているかは謎だけど、少なくとも「こっちのわたし」の役に立つなら喜んで書こう。

「こっちのわたし」がこの世界をくれたようなものだしね……感謝感謝。

なんてことを考えながら、今日あったことをまとめていく。

『5月2×日(金)
・入れ換わった
・跡部さんから間違い電話があった
・仙人掌の君(青学の不二さん)に逢って、お揃いの仙人掌を買った。
・「わたし」がテレビに映っていた
・(氷帝の)宍戸さんとお醤油を譲り合った→スーパーまで2人乗りした』

ここまでまとめてみて気づいたことは、言うまでもなく。

あれ? 「テニスの王子様」で出てくる人との遭遇率高くない……!? 私、何かやった……? いや、偶然だ。偶然ということにしておこう。多分、気にしたら負けだ……!!

そっと、知らない振りをすることにした。


*****


これでよしっ……っと。

ちゃんと日記を書き終え、窓辺に置いたサボテンに向かう。

「サボテンさーん、今日からよろしくね? えーと……あなたはどっちかっていうと可愛い感じよね。うん、可愛い。名前は……そうだなあ、サボちゃんとかどうかな? 安直かな? でも私ネーミングセンスないから、変な方向になる前にサボちゃんにしておくね……。ぐっすり眠ってね。…………」

自分に痛々しさを感じたのはなぜだろう。気にしないでおこう。
そうしろって仙人掌の君が言ってたんだから。この痛々しさは私のせいではない。

さて、明日は何しようかなぁ……。

明日は土曜日だからやっぱり外の散策とかしてみたい。そういえば守おじさんが植物園のチケットくれたはずだ。
よし、決定。明日は植物園だ。予定も決まったところでちょうど眠くなってきて、うとうとしながら誰にでもなく呟く。

「おやすみ……」


サボちゃんぐらいは、聞いてくれているだろうか。



- 14 -

*前次#


ページ:


back







top

ALICE+