朝がきた。結局22時から夜間防衛任務に入っていた嵐山、迅、東、の3人はローテーションで休憩を入れて6時まで仕事をしていたようだ。そんな中で俺は決められた範囲の自分の好きなタイミングで休憩をとっているし、連絡だけ忘れなければかまわないと城戸さんからも言われているので、休憩については特に気にしていない。

本部に帰るとそれなりに人がいた。そうか、今日は休日か。手元のスマートフォンで日付を見ると祝日と書かれていた。

祝日なら荒船にDVD…じゃなかった、Blu-rayを返せるかもと部屋に行こうとすると迅に呼び止められた。

「藤宮さん、玉狛に新しい仲間が入ったんで、見てやってくれませんか?」
「何で俺が?」
「いやー、みんな強くて藤宮さんにも見てもらおうと思って」
「俺弟子とらないの知ってるよね」
「見てもらうだけだから!」
「お前昼夜逆転してないだろ! 眠くねぇのかよ!!」

文句を言ってもぐいぐいと持ち前の押しの強さで玉狛に連れられて迅に続いて玄関に入ると、出かけようとしていた小南に鉢合わせした。あ、かなり久しぶりかも。

「え、ちょっと迅! 何で藤宮さんが来るって言ってくれないの! そうしたらもっと大人っぽい服にしたのに!」

そうだよな。急な来客ほど迷惑なものはない。でも小南は可愛いんだから何を来ても似合うし、実際その服も似合う。そう伝えようと思って口を開くことにした。

「おはよう小南。小南は可愛いからその服もとても似合ってるよ」

しん、と周りが静かになる。何か間違えたかな。年頃の女の子の扱いっていうのは本当に難しい。謝った方がいいかな。

「お、おはようございます!」

叫ぶように挨拶した小南はそのまま俺と迅の横を駆け抜けて外へ出ていった。

「小南は朝から元気だな」
「え、あ、うん。藤宮さんってさ、嵐山が来るまで広報候補ナンバーワンって知ってた?」
「は?俺に広報とか無理だろ」
「はぁ」
「何で溜め息つくの」

小南も昔はタメ口でたくさん話しかけてくれたのにな。

「なぁ迅。娘を嫁にやる時の父親の気持ちってこんな感じなのかな」
「藤宮さん何言ってるの?」


夜の鷹
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