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あれからツッキーは荒れてる。
ツッキーが安住さんと付き合ってたなんて誰も知らないから、不機嫌な理由がわからなくてみんな対処に困ってる。なにか知らないかと聞かれても、こればっかりは誰にも言えない。原因がわかってる俺がどうにもできないんだから、周りはもうお手上げとしか言いようがない。

「ツッキー、話してみたら?」
「誰と」
「…安住さん」

言っていいのか迷ったけど、俺が言わないとツッキーは動かない。

「今更なんの意味があるの?」
「あれから時間もたってるし、ちゃんと話してないなら話した方が」
「話すことなんてないよ」
「でもっ」
「理由が言えないってことは、安住さんにとって僕はどうでもよかったってことでしょ」

呼び方が変わった事実に、俺が泣きそうになった。もう名前で呼び会う関係じゃないんだと言われたようで、ツッキーが自分に言い聞かせているようで。

「どうでもいいよ」

そうじゃないと思う。ちゃんと話したことない安住さんのことはよく知らないけど、ツッキーのことならよく知ってる。

ツッキーが憎まれ口を言うのは、不用意に距離を詰められないようにするため。女の子には少しだけ柔らかくなるけど、基本スタンスは変わらない。

それでもツッキーはかっこいいから、言い寄る女の子はけして少なくない。そうなるとツッキーはまともに取り合わなくなる。話しても意味がないんだって。
ツッキーのことが好きな女の子はみんなかわいいけど、なんとなく違和感がある。ツッキーもそれがわかってるから相手にしないんだと思う。

そんなツッキーが好きになった女の子が、意味もなくツッキーをフったりするわけがない。

「ねぇツッキー」
「山口うるさい」

ヘッドフォンをつけてしまうと、俺でも手に負えない。なにも聞かないし、なにも話さないって言うツッキーの静かな意思表示。

こういう時は俺が動くべきじゃないんだろうけど、俺が動かないとツッキーも安住さんもこのままずっとすれ違ったままだ。

そんなの、絶対によくない。
だからって俺がしゃしゃり出るのも違うと思うけど、このままじゃ本当にダメになる気がして、俺は教室を飛び出した。



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