「起きろ」
『いだっ!』
急な痛みに飛び起きると、神田がものすごく不機嫌でした。ゴズさんはどこか楽しそうに見えました。
『なんか神田機嫌悪い?』
「は?」
『なんでもないです』
いやいやいや、めちゃんこ機嫌悪いじゃん。図星だからってそんなに睨むことないでしょ。あんた通常運転でも怖いんだからやめとくれよ。
『ふぁ…』
「アリスさん、もう少しで教団に着きますからね」
『はい』
列車を降りてから、ゴズさんの私への接し方が少し変わったように感じる。思い違いかもしれないけど、なんとなく違う気がする。
なんだ?私が寝てる間に何かあったのか?
眠い体を引き摺って列車を降りると、行きにも通った水路を抜けて教団に戻ってきた。まだ寝たいけど、これ以上寝ると夜眠れなくなりそうだから、頑張って夜まで我慢。
『…ん?』
「神田さん!どこいくんですか!すぐ医務室へ向かってください!」
ゴズさんの声が投げられる方向を見れば、怪我人のはずなのに私よりもしゃきしゃき歩く神田。
「ほっとけ」
あっちは確かに医務室なんてなくて、神田の性格からしても素直に行くとは思えない。そうなると、行き先は自室だろう。
あの傷でどうして医務室に行かないって選択をするのか、ちょっとよくわからない。
『ちょっと神田!』
本当にバカなのか。かすり傷とかならまだしも、あの怪我ほったらかしてどこ行くんだし。
「ついてくんな」
私が神田を追いかけると、ゴズさんも後をついてくる。向かう先はやはり神田の自室。
『神田!待ってって…ユウ!』
まさかそのまま寝るつもりじゃないでしょうね?信じられないけど、手当てもしないで血塗れのまま列車に乗ろうとしたくらいだ。神田ならやる、間違いなく。
なんなの?ぼっちがお好きなの?コミュ障なの?だから医務室に行けないの?「こんな怪我なんてしちゃって、恥ずかしくてもうお話できない」的なあれなのか?
恥ずかしくてもなんでもいいけどな、怪我を隠すのはよくないんだよ!しかも今回は軽傷じゃないから!
『わっ…もう…なんだし』
そんなおもいっきり閉めなくてもいいじゃん、危ないなぁ。ドア壊れたらどうするんだよ。
『うーん、どうしよう…あ』
悩む私の後ろから、ゴズさんが腕を伸ばしてノックした。
そうか、いくら神田でもノックすれば返事くらいするよね。
「医務室に傷の手当てに来て下さい」
おお、なんだかいままで以上に強気だね。列車のなかで打ち解けたのかな?このまま神田の友達になってくれるといいんだけどなぁ…だって神田、友達いなさそうだもん。
ドアをノックしたから神田が素直に出てくるかと言うと、もちろんそんなはずもなく、私達はあからさまな居留守を発動されてる。
しかし!それで引き下がるような私じゃない!
『神田ー!』
「神田さーん」
ドアの前でゴズさんと一緒に神田を呼び続ける。うるさい上に恥ずかしいから、きっと外に出てくるだろう。やってる本人は恥ずかしくもなんともないんだけどね。
「もうふさがりかけてる」
『はい嘘!』
ものすごく迷惑そうに顔を出した神田の言葉をコンマ何秒のレベルで否定する。同時にやっと開いたドアの隙間に足を突っ込む。そうでもしないとまた引っ込まれるかもしれない。恥ずかしくはないけどね、呼ぶ方も疲れるんですよ。
『ねぇ、医務室行こう?』
「いい」
さすがに私の足を引きちぎる勢いでドア閉めたりなんかしないよね?されたらどうしよう。
「駄目ですよ、ほら早く」
「…はぁ」
私達が諦めないと判断したのか、漸くドアがほんの少し開いた。足は無事引きちぎられることなく生還しそうである。よかった。
やっと医務室に行く気になったのかな?部屋から出てきたんだからきっとそうだよね。そうだと思う事にしよう!
私は神田が部屋に引っ込まないように、腕をつかんで引きずり出した。
『ほらほらほら!』
「うぜぇ」
『なんだと?』
神田からしたらありがた迷惑かもしれないけどね、誰かに心配してもらえるって言うのはいいことなんだよ。
「言い忘れてました。ありがとうございました」
「…ふん」
よくわかんないけどさ、この2人やっぱりちょっと打ち解けた感じだよね。
お母さんは嬉しいよ!なんて言ったら確実に怒られるな。神田冗談とか通じなさそうだし。素直になにがあったか聞いたとしても、神田は絶対に教えてくれないだろう。
「引っ張るな」
『だって神田逃げそうだし』
「逃げねぇから離せ」
『これっぽっちも信じられませんので全面的に却下致しまーす』
神田を引っ張りついた医務室は、数人手当てしてるけど平和な感じ。いいことだ。
『ほら早く脱いで!』
「アリスさん、その発言はどうかと思いますよ?」
服脱がなきゃ傷の手当てなんてできないじゃん。だから脱げって言っただけだし、私なにも変なこと言ってないんだけど。え、どっか変だった?私がおかしいの?
ゴズさんに言われた意味がまったく分からなくて、説明を求めてゴズさんを見上げたけど、なんだか諦めたようにため息をつかれた。解せぬ。
「うわ、ひどいですね」
さすがに医務室まできたら諦めたのか、迷いなくシャツを脱ぎ捨てた神田の傷を見ると、ドクターまで顔をしかめた。
そりゃそうだ。こんな傷普通は受けないもん。
『そう言えばさっきは急いでたから聞かなかったけど、神田、刺青なんていれてたんだね』
「お前に関係ねぇだろ」
つ、冷たい…触れたらまずいことだったのかな?
『そうだけど…』
その続きを言うことはできなかった。なぜなら門番が叫んだからだ。
「こいつアウトォォオオ!!」
こんな感じに。
この門番、名前が長くて覚えられない上にお喋りで慎重な性格で声がでかい。
2世だか3世だか知らないけど、慎重なくせにすぐ騒ぐからその度に教団内に余計な心配を広げてるんだよね。
「こいつバグだ!額のペンタクルに呪われてやがる!アウトだアウト!!」
ほら、また余計なことをべらべらと…後でおもいっきり抉ってやるから覚悟しとけよ!
「あ、まだ安静にしていないとダメですよ!」
門番の言った「アウト」と「ペンタクル」で、神田はアクマだと判断したんだろう。
脱いだシャツを適当に引っかけて、足早に医務室を飛び出した。
『ちょ、神田!…のバ神田が…連れ戻します』
「…はい、お願いします」
ったく、少しは自分のこと考えろっての!
その瞬時の判断力は文句をつけようとも思わないけどな、優先順位がおかしいんだよ!お前がまずすべき事は治療だろうが!アクマを壊すにも体が壊れてちゃそれもできなくなるんだから!
『ちょっと神田!』
私の声なんて聞こえちゃいないんだろう。どうせ今の神田の頭の中は、アクマを壊すことでいっぱいなんだ。それともあれか、やっぱり医務室怖いよパターンか。もしそれなら全力で笑うからな!
『待ちなさいって!』
それにしても…アクマが教団に来るなんて初めてだな。しかもちゃんと門から来るとかいい子かよ。正面からのこのこやってくる素直なアクマって、いったいどんなやつだろう…って、アクマ?
ちょっと待って。額のペンタクルって、もしかしなくてもアレンの事なんじゃない?もしアレンだったらこのまま神田が向かったらまずくない?
『ちょっと待てっつってんだよ!聞けよ!!バカ!!』
シ カ ト か!
本当に人の話聞かない奴だなあのバカは!全然追いつけないし!そんなに私の足は短いのか!くっそ腹立つ!後で殴る!
頑張れ私!アレンのために!!
『いだっ!』
急な痛みに飛び起きると、神田がものすごく不機嫌でした。ゴズさんはどこか楽しそうに見えました。
『なんか神田機嫌悪い?』
「は?」
『なんでもないです』
いやいやいや、めちゃんこ機嫌悪いじゃん。図星だからってそんなに睨むことないでしょ。あんた通常運転でも怖いんだからやめとくれよ。
『ふぁ…』
「アリスさん、もう少しで教団に着きますからね」
『はい』
列車を降りてから、ゴズさんの私への接し方が少し変わったように感じる。思い違いかもしれないけど、なんとなく違う気がする。
なんだ?私が寝てる間に何かあったのか?
眠い体を引き摺って列車を降りると、行きにも通った水路を抜けて教団に戻ってきた。まだ寝たいけど、これ以上寝ると夜眠れなくなりそうだから、頑張って夜まで我慢。
『…ん?』
「神田さん!どこいくんですか!すぐ医務室へ向かってください!」
ゴズさんの声が投げられる方向を見れば、怪我人のはずなのに私よりもしゃきしゃき歩く神田。
「ほっとけ」
あっちは確かに医務室なんてなくて、神田の性格からしても素直に行くとは思えない。そうなると、行き先は自室だろう。
あの傷でどうして医務室に行かないって選択をするのか、ちょっとよくわからない。
『ちょっと神田!』
本当にバカなのか。かすり傷とかならまだしも、あの怪我ほったらかしてどこ行くんだし。
「ついてくんな」
私が神田を追いかけると、ゴズさんも後をついてくる。向かう先はやはり神田の自室。
『神田!待ってって…ユウ!』
まさかそのまま寝るつもりじゃないでしょうね?信じられないけど、手当てもしないで血塗れのまま列車に乗ろうとしたくらいだ。神田ならやる、間違いなく。
なんなの?ぼっちがお好きなの?コミュ障なの?だから医務室に行けないの?「こんな怪我なんてしちゃって、恥ずかしくてもうお話できない」的なあれなのか?
恥ずかしくてもなんでもいいけどな、怪我を隠すのはよくないんだよ!しかも今回は軽傷じゃないから!
『わっ…もう…なんだし』
そんなおもいっきり閉めなくてもいいじゃん、危ないなぁ。ドア壊れたらどうするんだよ。
『うーん、どうしよう…あ』
悩む私の後ろから、ゴズさんが腕を伸ばしてノックした。
そうか、いくら神田でもノックすれば返事くらいするよね。
「医務室に傷の手当てに来て下さい」
おお、なんだかいままで以上に強気だね。列車のなかで打ち解けたのかな?このまま神田の友達になってくれるといいんだけどなぁ…だって神田、友達いなさそうだもん。
ドアをノックしたから神田が素直に出てくるかと言うと、もちろんそんなはずもなく、私達はあからさまな居留守を発動されてる。
しかし!それで引き下がるような私じゃない!
『神田ー!』
「神田さーん」
ドアの前でゴズさんと一緒に神田を呼び続ける。うるさい上に恥ずかしいから、きっと外に出てくるだろう。やってる本人は恥ずかしくもなんともないんだけどね。
「もうふさがりかけてる」
『はい嘘!』
ものすごく迷惑そうに顔を出した神田の言葉をコンマ何秒のレベルで否定する。同時にやっと開いたドアの隙間に足を突っ込む。そうでもしないとまた引っ込まれるかもしれない。恥ずかしくはないけどね、呼ぶ方も疲れるんですよ。
『ねぇ、医務室行こう?』
「いい」
さすがに私の足を引きちぎる勢いでドア閉めたりなんかしないよね?されたらどうしよう。
「駄目ですよ、ほら早く」
「…はぁ」
私達が諦めないと判断したのか、漸くドアがほんの少し開いた。足は無事引きちぎられることなく生還しそうである。よかった。
やっと医務室に行く気になったのかな?部屋から出てきたんだからきっとそうだよね。そうだと思う事にしよう!
私は神田が部屋に引っ込まないように、腕をつかんで引きずり出した。
『ほらほらほら!』
「うぜぇ」
『なんだと?』
神田からしたらありがた迷惑かもしれないけどね、誰かに心配してもらえるって言うのはいいことなんだよ。
「言い忘れてました。ありがとうございました」
「…ふん」
よくわかんないけどさ、この2人やっぱりちょっと打ち解けた感じだよね。
お母さんは嬉しいよ!なんて言ったら確実に怒られるな。神田冗談とか通じなさそうだし。素直になにがあったか聞いたとしても、神田は絶対に教えてくれないだろう。
「引っ張るな」
『だって神田逃げそうだし』
「逃げねぇから離せ」
『これっぽっちも信じられませんので全面的に却下致しまーす』
神田を引っ張りついた医務室は、数人手当てしてるけど平和な感じ。いいことだ。
『ほら早く脱いで!』
「アリスさん、その発言はどうかと思いますよ?」
服脱がなきゃ傷の手当てなんてできないじゃん。だから脱げって言っただけだし、私なにも変なこと言ってないんだけど。え、どっか変だった?私がおかしいの?
ゴズさんに言われた意味がまったく分からなくて、説明を求めてゴズさんを見上げたけど、なんだか諦めたようにため息をつかれた。解せぬ。
「うわ、ひどいですね」
さすがに医務室まできたら諦めたのか、迷いなくシャツを脱ぎ捨てた神田の傷を見ると、ドクターまで顔をしかめた。
そりゃそうだ。こんな傷普通は受けないもん。
『そう言えばさっきは急いでたから聞かなかったけど、神田、刺青なんていれてたんだね』
「お前に関係ねぇだろ」
つ、冷たい…触れたらまずいことだったのかな?
『そうだけど…』
その続きを言うことはできなかった。なぜなら門番が叫んだからだ。
「こいつアウトォォオオ!!」
こんな感じに。
この門番、名前が長くて覚えられない上にお喋りで慎重な性格で声がでかい。
2世だか3世だか知らないけど、慎重なくせにすぐ騒ぐからその度に教団内に余計な心配を広げてるんだよね。
「こいつバグだ!額のペンタクルに呪われてやがる!アウトだアウト!!」
ほら、また余計なことをべらべらと…後でおもいっきり抉ってやるから覚悟しとけよ!
「あ、まだ安静にしていないとダメですよ!」
門番の言った「アウト」と「ペンタクル」で、神田はアクマだと判断したんだろう。
脱いだシャツを適当に引っかけて、足早に医務室を飛び出した。
『ちょ、神田!…のバ神田が…連れ戻します』
「…はい、お願いします」
ったく、少しは自分のこと考えろっての!
その瞬時の判断力は文句をつけようとも思わないけどな、優先順位がおかしいんだよ!お前がまずすべき事は治療だろうが!アクマを壊すにも体が壊れてちゃそれもできなくなるんだから!
『ちょっと神田!』
私の声なんて聞こえちゃいないんだろう。どうせ今の神田の頭の中は、アクマを壊すことでいっぱいなんだ。それともあれか、やっぱり医務室怖いよパターンか。もしそれなら全力で笑うからな!
『待ちなさいって!』
それにしても…アクマが教団に来るなんて初めてだな。しかもちゃんと門から来るとかいい子かよ。正面からのこのこやってくる素直なアクマって、いったいどんなやつだろう…って、アクマ?
ちょっと待って。額のペンタクルって、もしかしなくてもアレンの事なんじゃない?もしアレンだったらこのまま神田が向かったらまずくない?
『ちょっと待てっつってんだよ!聞けよ!!バカ!!』
シ カ ト か!
本当に人の話聞かない奴だなあのバカは!全然追いつけないし!そんなに私の足は短いのか!くっそ腹立つ!後で殴る!
頑張れ私!アレンのために!!