▼ 惑星ロリポップ
「今日はありがとう」
岩ちゃんには内緒で、和泉さんのお見送りをするために体育館を抜け出した。
なんてったって俺が呼んだんだから、最後はちゃんとお見送りしないとね!俺ってホント紳士!
「いえ、本日は時間に余裕がありましたので」
「楽しかった?」
「人数がきちんと揃って、しっかり練習をすると凄いんだなと思いました」
「体育とかでやるのとは違うよねー」
和泉さんの言い方にちょっと引っかかるところはあった。でもバレーは体育でもやるし、それでかなーと思ってそう言ったけど
「左様でしたね」
どうやら違ったらしい。
なんだろう、今までに誰かの練習でも見たことがあったのかな。それが俺だったらいいんだけど、和泉さんは俺のことを知らなかったから、きっと別の誰かなんだろうな。
「もしよかったらまた観に来て」
俺じゃない誰かなんて、和泉さんの中からいなくなればいいのに。
なんて。彼氏でも、今は友達ですらないのにそんなことも言えないか。
「では、時間のよろしい時にまた伺わせて頂きたいと存じます」
「本当に!?」
「ええ」
「ありがとう!!」
やった!また来てくれるって!めっちゃ嬉しい!!
「もうすぐインターハイもあるんだ。学校の子達も来ると思うし、和泉さんも応援に来て」
「それは大会なんですか?」
え。なんかよくわかんないけど興味持ってくれた!
「そう!勝ち進んだら全国に行ける大会!今年こそ全国まで和泉さんを連れていってあげる!」
負けてやるつもりなんて少しもない。今年こそ、俺達が全国に行くんだ。
「あの、つかぬことをお伺いしますが」
「ん?なになに?なんでも聞いて!及川さんなんでも教えてあげちゃう!」
なにかな、なにかな!
及川さんの連絡先?誕生日?それとも今後のスケジュール?和泉さんにならなんでも教えてあげちゃうよ!
「今日の相手はどこだったのか、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「へ?」
今日の相手って…
「烏野…?」
「ああ、烏野だったんですね」
なんでそんなこと聞くの?
「知り合いでもいた?」
「ええ」
「どんな人か聞いてもいい…?」
「ただの知り合いです」
今日初めて話した俺には言えないか。同じクラスの岩ちゃんとか同じクラスだったマッキーなら教えてもらえたのかな。
なんで俺は和泉さんと同じクラスになったことないんだよ!神様のいじわる!
「でも、元気そうでなによりでした」
そう言う和泉さんの表情も声も変わらないから、本当にそう思ってるのかわからない。ついでにそれが同級生なのか後輩なのかもわからない。
でも、それが誰であっても、和泉さんにそんなこと言われるとか、ずるい。
「和泉さん」
「はい」
「大会じゃなくてさ、練習も観に来てよ」
「ですが、ご迷惑になりませんか?」
「見学オッケーな日もあるからさ!その日に来て?」
まだ言えない。和泉さんに言いたいことはたくさんあるけど、まだ。
「…では、またお邪魔させて頂きます」
「うん、待ってる」
誰が相手だろうと絶対に負けてやらない。
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