仮入部最後の日

「かっ返せよっ」


オレンジの男の子は小さい。蛍ちゃんと比べるとそれこそとんでもなく小さく見える。一応私よりも少しおっきいみたいだけど、そんなに大差ない。

…と言うことは、男の子の中じゃ小さい方なのかな。


「小学生は帰宅の時間じゃないのぉ?」


それだと私も小学生ってこと?

私に言われた言葉ではないけど、なんとなく嫌だったから軽く蛍ちゃんの背中にグーパンチ。
痛くも痒くもなければ、まったく気にしてないんだろうなぁ。


「誰なんだお前らっ!」
「えっと、わた」
「入部予定の1年か?」
「?おいっ」


あはは、オレンジの子黒髪の子に話遮られてるー。私もそうなんだけど、なんか2人が一瞬怖い顔した気がするので私は2人に止められたことにします。


「俺が話して」
「お前身長は?」
「おい!」
「ツッキーは188cmあるんだぜー!もうすぐ190cmだ!」
「ひゃくきゅっ…!?」


忠くんももうすぐ180cmだよね。
この間の測定の時に「伸びてたー」って教えてくれたもんね。


「なんでお前が自慢すんの、山口」
「ごめんツッキー」


蛍ちゃんは昔からゆっくり伸びて、忠くんは突然伸びてたね。私はもうそろそろ止まるよ。

オレンジの君は私と違ってそのうち伸びるよ。だって男の子だもん。


「アンタは北川第一の影山だろ?そんなエリート、なんで烏野に居んのさ」
「あ?」


それにしても嫌みモードの蛍ちゃんを忠くんが止めないって、私が知らないところでこの2人となにかあったのかな?
例えば…って、北一?


「おい!」


お、やっとオレンジの子が2人の間に入れた。黒髪の子もオレンジの子よりはずっと大きいから、視界に入らな…いんじゃなくて無視されちゃってたんだねきっと。

それよりあの黒髪の子だよ。オレンジの方よりはっきり覚えてる。いや、だからってオレンジの子を知らないってことでもなくて…本当、どこであったんだろう?


「明日は絶対に負けないからなっ!」


威勢良く声をかけたと思ったら、土曜日は負けないって…なんの話かな。蛍ちゃんは聞いてもあんまり教えてくれないからなぁ。部活のことなら、忠くんに聞いたら教えてくれるかな。


「あっそ」
「ぅえ?」
「君らには重要な試合なのか知らないけど、こっちにとっては別にって感じなんだよね」
「はぁ?」
「勝敗に拘りないし、君らが勝たないと困るなら…手、抜いてあげようか?」
「なんだぁー!?」


ああもう。
ここからは見えないけど、蛍ちゃんは悪気がなさそうな親切心100%で言いましたーみたいな顔してるんだろうな。こういうタイミングで使うと逆に悪意しか感じないよ。悪意しかないんだろうけど。


「テメーが手ェ抜こうが全力出そうが、俺が勝つのに変わりねぇんだよ」
「おれ達だろ?!」
「アッハハ、すっごい自信。流石"王様"!」
「あ…」
「っオイ、その呼び方」


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