朝のHR前

あいにく私は1人運動部が少ないクラスに割り当てられてるから、同じ部活の人は全くいない。部員が多いバレー部なのに、全くいないとはどう言うことかと去年このクラスに入って驚いたのが懐かしい。

「いたいた!木葉ー!柏手いたぞー!」

つい最近まで嫌になるくらい聞いていた声が響いた。

このクラス運動部少なくてあんたたちのテンション慣れてないんだから、ちょっとは抑えてよ。木葉と小見は理解してくれたからこんなの久しぶりだけど、約1名何度言っても忘れるから、そいつはさすがに諦めた。

この2人が何を求めてるかなんて、今日の日付を考えれば火を見るよりも明らか。朝とは違う少し小さめの包みを2つ手にして席を立った。

「おー、さすがに木兎みたいに登校日忘れてなかったか」
「は?木兎登校日忘れてたの?」
「昨日部活に顔出したんだけどさ、そのときに会ってマジでよかった」
「赤葦も呆れてたな」

引退してまで後輩に迷惑かけるとは…

「木兎、それで大学大丈夫かな…」
「なんとかなるだろ。大学には誰もいなくなるしな」
「そうだけどさぁ」
「それはそうと柏手、忘れてないよな?」

小見の目は期待に満ちている。木葉もパッと見は興味なさそうにしてるけど、期待したからこそわざわざ6組まで来たんだろう。

「1ヶ月も前からさんざん言われてたら忘れられるわけないでしょ」

男子のこの行動力って無駄に凄い。

「おー!さすが柏手!サンキュー!」

それぞれに包みを渡すと分かりやすく喜ぶのだから憎めない。こう言うところが「男子は女子より精神年齢がー」なんて話になるんだろうか。

「あんたたちはチョコがほしいだけだもんね」
「そんなことないぞ。ちゃんと愛もほしい!」
「残念でしたー。あんたたちにあげる愛なんてないよ」
「つめてーなぁ」

木葉は小見とふざけたりするけど、意外と大人な部分がある。

「お!トリュフか?!」
「え?俺の違くね?」
「なになに?」
「…パンケーキ?」
「パウンドケーキね」

最近はコンビニでも売ってるのにわからないものなの?いつもハミチキとかご飯系に走ってるから?

「なんで俺のと違うんだよ!」
「小見が去年チョコがいいって言ってたからでしょ」
「言ったっけ?」
「言ってたよ」
「言ってたな」

1年も前の事じゃ気持ちが変わっても仕方ないけど、今さら中身は変わらない。

「そっちもいーな」
「トレードはお好みでしてね」
「おう!サンキューな!」
「ありがとな」
「いいえー」

1個ずつ交換とか言い合いながら教室に戻るのを眺めてると、やっぱり男子ってバカだなぁと思う。
あんなに言ってくれるなら、頑張って両方入れてあげればよかったかな。

さて、他のメンバーにはいつ渡そうか。

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