1時間目の直前

「柏手!なんで俺にはくれねーんだよ!!」

1時間目が終わってから、とりあえず隣のクラスの鷲尾に渡しに行こうかと思っていたのに。
それなのに悩む暇も与えてくれないのか、このミミズクは。

「さっき小見やんがきた!今年は勝ったなってチョコ持ってきた!」

他人のクラスでも迷うことなく入ってくる木兎は、正直なところクラスではビビられてる。デカいしうるさいし文化部がメインなこのクラスでは怖いイメージしかないんだろう。
私も関わりがなかったらそう思ってただろうから仕方ない。

「なんの勝負かは聞かないことにしてあげる」
「俺もほしい!」

私のよりもずっと大きな右手が早く渡せと急かしてくる。
子供か。

「はいはい、わかったからうるさい」

包みを持って席を離れると、ひよこよろしく後をついてくる。しかもうるさいって言ったからか黙って。
190近い大男の癖にそう言うところがあるからあんたはモテるのよ。気付いてないとかホントバカ。

「はい、今年の」
「うをー!!サンキュー!!」

黙らせるためにチョコを渡したのにまた喧しく喜ぶんだから、これが正解だったのか間違いだったのかわからない。

「今年は俺が1番にもらおうと思ってたのに!小見やんに負けた!」
「それなら木葉にもね」
「なにぃ!?木葉も来たのか!!」
「小見と2人できたよ」
「くっそー!」
「そもそも1番最初にあげたのはゆっきーとかおりんだけど」
「マネちゃん達は別だ!」

いつも何を張り合ってるのか。

「あ!今年は2人も持ってるかも!ちょっと行ってくる!」
「はーい、いってらー」

かおりんはともかく、ゆっきーが持ってるわけないでしょ。持ってたとしても木兎にはないわね。

鷲尾には後で渡しに行くか。

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