山本

「虎!」
「うをっ!?」

勢いよく背中を叩かれて驚いた。振り返れば女バレのやつ。

「ななななな!なんだよ!」

仲が悪いわけではないが、別に良くもない。俺の事をヘタレだなんだと文句をつけてくるくらいで、バレーをしてなかったら一言も口を利いてないだろう。

あと俺はヘタレじゃない。

「IH!勝てよ!」

そんな下らないことを考えていたら、泣きそうな目に睨まれた。
正直女バレはそれほど強くない。歴代で見ても、よくてベスト8。春高出場は、俺が知る限りではない。

「おう」

それでもこいつらが頑張ってないわけじゃない。女バレにも猫又監督みたいな人がいたら強かったのかもしれない。
でも、それも可能性の話だ。

「負けたらモヒカン刈るから!」
「やめろよ!」
「うるせーハゲ!」
「ハゲてねえ!」

いちいちないもんに文句言ったって仕方ねえ。出来る限りを尽くす。それだけだ。
俺だってエース張ってんだ。簡単に負けるわけにゃいかねえ。

「ストレート負けしたら笑ってやる」
「やめろへこむ」
「モヒカンにお花挿してやる」
「墓じゃねーんだからやめろって」
「それで、頑張ったねって弔ってやる」
「…そんなもんいらねーよ。ぜってー勝ってやるからな」
「おー」

まだ弔われるわけにゃいかねーよ。

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