京谷
京谷はヤバいやつだと思ってた。いや、正直に言うと今も思ってる。
金髪坊主(でいいのかわからないけど)で2本のライン。おおよそ一般的な高校生のする頭じゃない。視線だけで人を殺せるくらい目付きが悪い。歩き方も態度も悪い。話したことなんてないけど、喧嘩してるところに遭遇したら、声も怖かった。きっと私とは生きる世界が違う、死んでからもかかわり合いになることのない人だと思ってた。
思ってた、のに…
「おい」
「ひゃい!?」
「…どうすりゃいいんだ」
知らないよそんなの!通りすがりの私に声かけないでよ!
京谷は子犬にまとわりつかれて困惑してるらしい。ころころきゃんきゃんとてもかわいらしいのに、何故なついた相手が凶悪きわまりない京谷なのか。解せぬ。
「女ならなんとかできんだろ」
どんな偏見。かわいいとは思うけどなんとかできるわけがない。そもそもなつかれてるのがあの京谷だ。私が京谷に近付きたくない。怖い。
「お前聞いてんのか?」
「へぁ!聞いております!」
「こいつなんとかしろ」
なんとかって言っても!子犬が全然こっち来てくれないからどうにもできません!
「えっと、あ、わんこ、こっちおいでー」
チキってるからか、子犬がこっちに来る気配はない。なんで京谷にそんななついてるんだ。私よりも京谷がいいのか。めっちゃ顔怖いぞ、優しいかどうかわかんないぞ。
…なんかちょっと悔しくなってきた。
「わん…そうだ!私いいものあるよ」
おやつのジャーキーがあるんだよね。これにつられてこっち来てくれるかな。
「ほら、わんこー。おいしいよー」
ジャーキーにつられてくれたのか子犬はやっと京谷から離れてくれた。
いくらなんでもこれを食べさせるわけにもいかないから、ジャーキーは私の口に。ひょこひょこよってきた子犬は腕の中。
「ん!もうないって!つーかわんこが食べたらダメなやつだから!」
しまった!めっちゃくれくれオーラ出して舐めてくる!でもあげられないしもう食べちゃったから!どうしよう!
「あ」
テンパってたら京谷が引き離してくれた。首根っこもってひょいって。
いつも思うけど、あれって痛くないのかな。皮膚伸びてるけど…
「バカじゃねぇの?」
助けてあげたのにこの言いぐさである。
「つーかなんでそんなもんもってんだよ」
「おやつだったから」
「オヤジかよ」
失礼な!肉が食べたかったんだよ!
「ほら、わんこは私が何とかするから京谷は帰りなよ」
「は?」
帰りたいんだろうと思って言ったのに睨まれた!恐い!ホント恐い!なんなのこいつ!
「お前どうすればいいかわかんのかよ」
「わかんないけど、なんとかなるよ」
…なんか呆れられた気がする。
「あ、」
「知り合いに知ってるやつがいる」
それ、ヤンキーじゃないよね。大丈夫な人だよね?
「ちっうぜぇ…お前持ってろ」
「え?わ、え?!」
子犬を投げて渡すものだからびっくりした。いや、ホントに投げてはないけどさ、こうひょいっと渡されてさっさといかれたらびっくりするじゃん。
「早く来い」
「ちょっと待ってよ!」
てゆーか!これ帰れないやつだ!誰か助けて!京谷と一緒とかやだ!帰りたい!
「おい」
「はい!行きます!」
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京谷はヤバいやつだと思ってた。いや、正直に言うと今も思ってる。
金髪坊主(でいいのかわからないけど)で2本のライン。おおよそ一般的な高校生のする頭じゃない。視線だけで人を殺せるくらい目付きが悪い。歩き方も態度も悪い。話したことなんてないけど、喧嘩してるところに遭遇したら、声も怖かった。きっと私とは生きる世界が違う、死んでからもかかわり合いになることのない人だと思ってた。
思ってた、のに…
「おい」
「ひゃい!?」
「…どうすりゃいいんだ」
知らないよそんなの!通りすがりの私に声かけないでよ!
京谷は子犬にまとわりつかれて困惑してるらしい。ころころきゃんきゃんとてもかわいらしいのに、何故なついた相手が凶悪きわまりない京谷なのか。解せぬ。
「女ならなんとかできんだろ」
どんな偏見。かわいいとは思うけどなんとかできるわけがない。そもそもなつかれてるのがあの京谷だ。私が京谷に近付きたくない。怖い。
「お前聞いてんのか?」
「へぁ!聞いております!」
「こいつなんとかしろ」
なんとかって言っても!子犬が全然こっち来てくれないからどうにもできません!
「えっと、あ、わんこ、こっちおいでー」
チキってるからか、子犬がこっちに来る気配はない。なんで京谷にそんななついてるんだ。私よりも京谷がいいのか。めっちゃ顔怖いぞ、優しいかどうかわかんないぞ。
…なんかちょっと悔しくなってきた。
「わん…そうだ!私いいものあるよ」
おやつのジャーキーがあるんだよね。これにつられてこっち来てくれるかな。
「ほら、わんこー。おいしいよー」
ジャーキーにつられてくれたのか子犬はやっと京谷から離れてくれた。
いくらなんでもこれを食べさせるわけにもいかないから、ジャーキーは私の口に。ひょこひょこよってきた子犬は腕の中。
「ん!もうないって!つーかわんこが食べたらダメなやつだから!」
しまった!めっちゃくれくれオーラ出して舐めてくる!でもあげられないしもう食べちゃったから!どうしよう!
「あ」
テンパってたら京谷が引き離してくれた。首根っこもってひょいって。
いつも思うけど、あれって痛くないのかな。皮膚伸びてるけど…
「バカじゃねぇの?」
助けてあげたのにこの言いぐさである。
「つーかなんでそんなもんもってんだよ」
「おやつだったから」
「オヤジかよ」
失礼な!肉が食べたかったんだよ!
「ほら、わんこは私が何とかするから京谷は帰りなよ」
「は?」
帰りたいんだろうと思って言ったのに睨まれた!恐い!ホント恐い!なんなのこいつ!
「お前どうすればいいかわかんのかよ」
「わかんないけど、なんとかなるよ」
…なんか呆れられた気がする。
「あ、」
「知り合いに知ってるやつがいる」
それ、ヤンキーじゃないよね。大丈夫な人だよね?
「ちっうぜぇ…お前持ってろ」
「え?わ、え?!」
子犬を投げて渡すものだからびっくりした。いや、ホントに投げてはないけどさ、こうひょいっと渡されてさっさといかれたらびっくりするじゃん。
「早く来い」
「ちょっと待ってよ!」
てゆーか!これ帰れないやつだ!誰か助けて!京谷と一緒とかやだ!帰りたい!
「おい」
「はい!行きます!」